福岡事件・西武雄さん処刑40年法要、再審キャンペーン始まる
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終戦直後の1947年の占領下に福岡市で中国人ら2人の商人が殺された事件(福岡事件)で強盗殺人の主犯として死刑判決を受け無実を訴え続けながら処刑された西武雄・元死刑囚の処刑40周年の法要が6月17日、福岡市の大名町カトリック教会で営まれた。福岡事件再審キャンペーン「私はわらじがぬがれない」の一環。同日は、西・元死刑囚の刑が執行された1975年6月17日からちょうど40年だった。西さんの生誕100年でもある今年を、「再審運動の再スタートの年」と位置づけている。
同キャンペーンの名称は、西さんが収容されていた福岡拘置所で教誨師(きょうかいし)をしていた故・古川泰龍氏(玉名市・生命山シュバイツァー寺住職)が冤罪を確信し再審請求運動のために、黒い法衣とわらじ姿で全国行脚し、「無実で死刑にならない世の中を私は信じたい、証明したい。でなければ私は救われない、生きられない。私はわらじがぬがれない」と、無実が証明されるまで、わらじを脱ぐことができないとの気持ちをつづった詩に由来する。同日は、キリスト教、仏教、大本の諸宗教による法要が営まれ、木村公一牧師が挨拶した。
泰龍氏の長男で、住職の龍樹氏が、国内外で雪冤のために行脚している活動をスライドで紹介し、「無実で死んではならない」と無実を訴え続けて命が奪われた西さんの無念さを忘れてはいけないとして、わらじを履き続ける決意を述べた。再審請求は、2009年3月に6次請求が棄却されて以降、請求できる近親者がいないため請求できない状況になっている。「無罪等を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見した」場合、再審請求できる者の筆頭に検察官が挙げられており(刑事訴訟法第439条1項)、福岡事件同様に、再審請求できる近親者がいない「菊池事件」で検察官による再審請求を求める運動が広がっている。
再審請求再審弁護団の八尋光秀弁護士が講演し、「裁判は真実を明らかにする場ではない。その時あった証拠によって真実と思われることに基づいて刑を取り決めるシステムで、判決は仮説に過ぎない。その時なかった証拠、隠された証拠が出てきて誤判だと分かったら、たとえ刑を終えていても死刑が執行されていても、正さなければいけない。そのことを世界中が知っている。日本だけは、判決が真実だと思っている」と指摘。泰龍氏が語っていた「命は1つ、西の奪われた命は、私の命が奪われたんだ。私は痛い」との言葉を紹介し、「生きている者の命のつながりと、奪われた命のつながりのなかで、福岡事件も再審の道を開きたい」と呼びかけた。法要では、西さんが獄中で詠んだ1万句以上の俳句のうち、「ひばり野に 大手を振って 出てみたし」などの多くの句が朗読された。法要には、約20人が参列した。
大名町カトリック教会(福岡市中央区大名2-7-7)では、18~19の両日、「届かなかった無実の叫び」と題して、西・元死刑囚の遺品展が開催され、一部初公開の遺品などが展示される(午後1時~5時30分)。20日には、シンポジウム「『福岡事件』から考える死刑と再審~米国研究者を招いて」が開かれる(午後1時30分~午後4時30分)。米国で警察の職務などを監督する委員を13年間務めたジョージ・ケイン氏(西コネチカット州立大学准教授)、内田博文・神戸学院大学法科大学院教授、八尋光秀弁護士が講演する。いずれも入場無料。問い合わせは、生命山シュバイツァー寺(電話:0968-72-3111)まで。
【山本 弘之】
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