2024年12月23日( 月 )

九州地銀グループの実力度を検証(6)

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 前回に引き続き【表1】九州地銀(18行)の2015年3月期決算の概要を見ていただきたい。
 【表2】は宮崎銀行と宮崎太陽銀行の概要である。

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(3)宮崎銀行

・預金残高8位の宮崎銀行は2兆1,875億円(前期比5.3%)で、1,106億円の増加。地銀平均の3.8%を大幅にクリアし、健闘している。

・貸出金残高は1兆6,634億円(前期比7.7%)で6位。地銀平均の5.7%を大幅に上回り、1,188億円増加。預金を上回る貸出金の増加によって預貸率は前期の74.37%から76.04%と1.67ポイント上昇。5位の大分銀行の預貸率は66.4%、7位の親和銀行は64.88%、8位の十八銀行は58.72%と、貸出金が低迷しているのとは対照的に、積極的な融資姿勢が目立つ。

・反面当期純利益は62億円(前期比▲9.3%)で、7億円の減益となっているが、16年3月期は70億円(前期比12.2%)と、大幅な増加予想となっている。

(4)宮崎太陽銀行

・預金残高14位の宮崎太陽銀行は5,916億円(前期比2.8%)で、地銀平均の5.7%の半分以下の増加率となっており、苦戦しているのがわかる。

・貸出金も4,491億円(前期比1.2%)で、増加額はわずか55億円にとどまっており、1,100億円以上増加させた宮崎銀行とは対照的に、厳しい経営状態が続いている。

・当期純利益も預貸金の低迷を反映して20億円(前期比▲18.2%)で、4億円の減益。さらに16年3月期は半減に近い11億円(前期比▲44.5%)を予想しており、収益環境の厳しさが一段と浮き彫りとなった格好だ。

★宮崎銀行と宮崎太陽銀行の経営統合の行方

・宮崎銀行と宮崎太陽銀行は預貸金を含めてほぼ4:1となっており、宮崎県内において宮崎銀行が圧倒的なシェアを占めている。しかしその宮崎銀行さえも今後単独で生きていくことは厳しい状況にあることも事実だ。

・宮崎県の2010年の人口は1,128千人。5年後の2015年の人口は1,109千人となっており、1万9千人減少している。この数字は1つの市(たとえばえびの市の人口20,085人)がほぼ消えた計算になる。人口の減少にともなう地域経済の縮小は今後さらに加速すると見られており、地域金融機関に与える影響も計り知れないものがある。(いずれも5月1日現在の推計人口)

・宮崎銀行の第4位の株主には福岡銀行、第6位の株主には鹿児島銀行が名を連ねている。宮崎銀行は経営統合の相手先として、ふくおかFGを選ぶのか、それとも鹿児島銀行と肥後銀行とが経営統合して発足する九州FGに参加するのか。宮崎銀行の筆頭株主は宮崎銀行従業員持ち株会であり、取り扱いを間違えると行内が分裂する可能性を秘めている。小池頭取にとっては難しい選択を迫られることになりそうだ。

・一方宮崎太陽銀行の筆頭株主は整理回収機構で32.73%、2位は西日本シティ銀行の2.37%。宮崎太陽銀行は官の意向を受け、谷川浩道氏(旧大蔵省出身)が頭取の西日本シティ銀行グループに入るものと推測される。

(つづく)
【北山 譲】

 
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