九州地銀グループの実力度を検証(7)
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前回に引き続き【表1】九州地銀(18行)の2015年3月期決算の概要を見ていただきたい。
【表2】は佐賀銀行と佐賀共栄銀行の概要である。(5)佐賀銀行
・預金残高9位の佐賀銀行は2兆834億円(前期比3.1%)で、636億円の増加。地銀平均の3.8%を下回っており、やや苦戦している状況。
・貸出金残高は1兆3,450億円(前期比4.4%)で9位。地銀平均の5.7%を大きく下回り563億円の増加にとどまっており、預金同様、伸び悩んでいるのがわかる。
・当期純利益も33億円(前期比▲33.5%)で、▲17億円と大幅な減益となっている。14年3月期は熊本銀行の50億2,000万円と肩を並べる49億8,300万円の純利益を挙げていたが、大きく差を広げられることになった。16年3月期は、両行とも32億円を予想しているが、10位の熊本銀行と比較して預貸金ボリュームが大きいにもかかわらず、収益がともなっていないのが読み取れる。
(6)佐賀共栄銀行
・預金残高18位で最下位の佐賀共栄銀行は2,172億円(前期比2.2%)で、増加額は47億円。地銀平均の5.7%の半分以下の増加率となっており、苦戦しているのがわかる。
・貸出金も1,718億円(前期比2.2%)で、増加額はわずか37億円にとどまっており、預金集めと同様に貸出先の開拓に苦労しているようだ。
・当期純利益は5億円(前期比30.5%)で、1億円増となったものの、16年3月期は2億円(前期比▲60.7%)を予想しており、収益環境の厳しさが伝わってくる。
佐賀銀行と佐賀共栄銀行の経営統合の行方
・2010年の佐賀県の人口は85万489人で、それから5年後の15年には83万776人となっており、1万9,713人減少している(いずれも5月1日現在の推計人口)。この数字は、多久市の人口(1万9,790人)がほぼ消えた計算になる。佐賀銀行は、佐賀県内においては独占的なシェアを占めてはいるものの、人口の減少が地域金融機関に与える影響も計り知れないものがある。
・佐賀銀行の第4位株主には福岡銀行、第6位には鹿児島銀行が名を連ねている。佐賀銀行は経営統合の相手先として、(1)「共同システムで歩調を合わせている十八銀行と筑邦銀行の3行による経営統合を優先する」のか、(2)「鹿児島銀行と肥後銀行とが経営統合して発足する九州FGに参加する」のか、(3)「ふくおかFGを選ぶ」のか――。
ただ、その選択にも大きな制約がある。筆頭株主は佐賀銀行従業員持株会であり、対応次第では行内が分裂する可能性を秘めており、陣内頭取は難しい舵取りを迫られることになりそうだ。・一方、佐賀共栄銀行の大株主には、地元企業の松尾建設や久光製薬に続き、5位は西日本シティ銀行の4.80%が名を連ねている。昨年6月に頭取に就任した二宮洋二氏は、西日本シティ銀行頭取の谷川浩道氏と共に旧大蔵省の出身であり、金融庁の意向を受けて、西日本シティ銀行グループとの経営統合を模索するものと推測される(【表3】参照)。
(つづく)
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