鹿島と久留米市の体質を問う!技術意見書は何を示したか(前)
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鹿島欠陥マンション裁判
鹿島建設(株)が元請として福岡県久留米市で施工した「新生マンション花畑西」の欠陥をめぐる裁判で、原告住民らの依頼を受けた1級建築士が公表した技術意見書は、これまでに指摘されていた欠陥以外の新たな欠陥を示すものだった。技術意見書は何を示したか--。
これまで原告側は、同マンションの耐震強度が著しく不足しており、建物の基本的な安全性を損なう欠陥があったと指摘してきた。構造設計の偽装、コンクリートのかぶり厚不足と中性化の進行、鉄筋の腐食などを根拠にしてきた。今回、一級建築士の仲盛昭二氏らが作成した技術意見書は、新たに発見した欠陥を明らかにしたとともに、欠陥が設計上の問題だけではなく、施工業者の「設計ミスを見抜くことができなかった。設計図通りに施工したので、責任はない」などという言い逃れが通用しないことを示している。同様に、建築確認をした久留米市の確認審査のずさんさも示している。
同マンションは、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の15階建て(92戸)。元請が鹿島建設、地場建設会社が下請施工し、販売は新生住宅(株)(すでに廃業)、設計監理は、(株)U&A設計事務所と(株)木村建築研究所。1996年1月完成。
柱脚が「非埋め込み形」なのに、構造計算では「埋め込み形」
まず、新たに指摘された欠陥というのは、建物の柱の足元で、基礎や土台へ固定をしている「柱脚」の構造計算が17%も危険側に設計されていたというものだ。
柱脚を基礎に固定するには、大きく2つの方法がある。地中の梁の上に鉄骨をアンカーボルトなどで固定するのが「非埋め込み形」(露出柱脚)で、鉄骨を地中の梁のなかに固定するのが「埋め込み形」である。
技術意見書によれば、設計図面によれば実際には「非埋め込み形」で設計されているのに、構造設計では「埋め込み形」だとして計算(偽装)していることがわかった。この2つの方法の違いについて、鹿島が記述している興味深いプレスリリースがある。2001年に、清水建設(株)、大成建設(株)と一緒に発表したものだ。そこには、
「作業工程上、鉄骨建方が基礎梁配筋と同時作業となる埋め込み形柱脚に比べ、コンクリートの床上で鉄骨建方ができる非埋め込み形柱脚の方が施工性が優れていたため、大部分のSRC造建物に非埋め込み形柱脚が採用されていました」
と書かれている。
つまり、現場作業がやりやすいのが「非埋め込み形」だ。
ところが、SRC造マンションの作業工程上有利な「非埋め立て形」の柱脚は、構造設計では「埋め立て形」よりも大きな構造耐力が求められるので、建設経済的には不利になる。
技術意見書が指摘した偽装は、その矛盾を解決する「ウルトラC」だった。(つづく)
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