成就には人の巡り合いがあってこそ (後)
一時は「ドンキホーテヤマサキ」と異名がついていた。要するに資金調達力には乏しい。
あるのは『パラマウント事業を招請して故郷を活性化させる熱意』が人の1万倍あることだ。1,400億円事業の10億は捻出できる能力があっても焼け石に水程度。しかし、この山崎氏の熱意に心打たれて沢山の経営者がサポートしてくれた。
◆ 伊藤忠商事時代の人脈
最初の資金手当てのピンチはパラマウント事業の日本の権利を得るパテント代の工面であった。あちらこちらに打診したなかで宅島建設(長崎県)の宅島社長がポーンと用立てしてくれた。同氏と付き合いは古い。山崎氏が伊藤忠商事の燃料部のサラリーマン時代にさかのぼる。今回のパラマウント事業誘致の資金調達においては山崎氏の伊藤忠商事時代の人脈が大きな支えになっている。給料取り時代から注目されていた存在だったのだろう。
日本でのエージェントの権利を有して公的活動を開始したが、恩人宅島は、たまたまトリアス久山のオーナーに君臨していた。これもまた好都合であった。久山町対策は、前号で触れた80歳を超えた老人のパワーとトリアス久山社長・宅島氏との結合力で事がスムーズに運ぶ成り行きであった。日本トレイドには収入はない。増資をするしか方策はないが、宅島氏の出資状況を見て応じた経営者も数多く輩出した。ジャパン福岡・ペプシコーラ販売の伊藤博翌(ひろいき)社長もその一人であった。
日本トレイドの増資の繰り返しでは資金繰りの行き詰まりは目に見えている。久山町、及び地主の方々に計画延長の要請を再三にわたり行なってきたことで信用失墜・軋轢を発生したことは間違いない。山崎氏は決断した。
「俺が事業遂行の責任者では前に進まない。特定目的会社を設立して信用ある経営者を頭に立ってもらおう」
事業遂行を『MEC土地開発管理特定目的会社』を設立させてこの組織に担ってもらうことにした。
(この組織に関してはネットIB・耳より情報『パラマウント事業の担い手は』を参照!!)
◆ 社会奉仕をせよ!!
山崎氏には別の80歳を超えた経営人が支えてくれていた。特に経済界対策を中心に活動してくれたそうだ。
この気骨ある憂国の士が
「伊藤君、社会奉仕をしなさい!!」
という鶴の一声でMEC社の社長が誕生したと聞く。
伊藤社長はジャパン福岡・ペプシコーラ販売のオーナー社長だ。ジャパンコーラの元締めはサントリーだが、全国の代理店の中では異色の数少ないオーナー社長である。業界では人望と経営才覚には高い評価を得ている傑物である。
MECの設立で日本トレイドはパラマウント事業の関連の業務委託を引き受ける役回りになった。山崎氏は語る。
「私は金設けのためにこの事業に携わったのでないから今回の決定に後悔の念は微塵もない。ただ事業遂行が達成できればハッピーなだけだ。本当に各方面からたくさんの方々の温情を頂き一生の恩義を抱いている。一人の力はたかが知れている。物事の成就には人の巡り合いあってこそだ」
と。
※記事へのご意見はこちら