サラリーマン社長と創業社長の執念の差 [3]
2004年、3年前のことである。
ソフトバンクの孫オーナーはベスト電器に入り浸りであった。あまりにも有薗社長との蜜月関係だったので関係者の間では
「孫オーナーがベスト電器を買収するのではないか!!」
という噂が流れた。
一方では
「儲からない家電小売のビジネスを買ってもメリットはなかろう」
という否定的な見解もあった。
ところが孫氏はベスト電器を超えて球団ホークスを買収した。この球団買収の仕掛けを目の当たりにして有園氏はオーナー孫氏の事業の貪欲さに舌を巻いたのではないかと想像される。
◆ 日本一なら買ったか
かってはベスト電器が家電小売の日本一の王座に就いていたという栄光の時代があった。もしもこの時点で孫氏がベスト電器と遭遇することがあったらならば同氏も本気で買収の行動に乗り出したかもしれない。でも当時は孫氏には企業買収する資金力はなかった。歴史の仮定を設定しても意味がない。冷静に考えれば球団ホークスを買収するために現地情報を収集する目的でベスト電器に立ち寄ったのであろう。
3年前の9月からの孫オーナーの行動を思い出していただきたい!!
マスコミに「ホークス球団を買います」と宣言をして目的に向かって突進するあのパワーには誰しもが感服した。大判振る舞いでコロニーから球団を買い取った。大判振る舞いの付けがソフトバンクホークスの経営に過重な重しを与えた。来年の年間予約席の値段はアップする事態に陥っている。
3年間、優勝から見放されるとさすが福岡のファンも痺れを切らす恐れがある。来年が正念場だ!!
だがいかなる試練が待ち構えていようともソフトバンクグループから見れば球団を買ったことは1兆円以上の価値を増殖させたのに等しい。これだけ大衆・消費者への露出度が高くなれば好感度のイメージが定着する。頃合いを見計らって携帯電話ビジネスに資源投入して後発ながら先発のライバルを凌駕する勢いだ。
球団担当者らは難儀なセールスを強いられるが、孫氏はグループ全体を眺めつつニンマリしているはずである。やはり日本の経営者で事業野心はトップの存在と評価して良いし卓越した戦略家だ。
有薗社長も孫オーナーの独断専行の決断と指導力に直面したのだから多少は学び盗み取りしてベスト電器の改革に生かせば良かったのに惜しまれる。そこがオーナーと雇われ経営者の非和解的な意欲・能力の差であろうか。
まー、しかし、ベスト電器はベスト電器で独自の打開策を打ちだしてきた。国内激戦市場を見放して活路をアジアに託す戦略である。一瞬にして販路を構築できたならば生きていく余地はあるが。有薗氏の戦略が功を奏すること祈る。時間は残されていない。
ところでここに来て面白い情報が飛び込んできた。日本一でないベスト電器には魅力がないがヤマダ電機には魅了される。あの業界制圧を願い手にしたヤマダ電機のオーナーと孫氏とが手を結んだという説だ。ヤマダ電機のベスト電器の株買い占めは陽動作戦であるという注目すべき情報である
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