サラリーマン社長と創業社長の執念の差 [5]
本シリーズ(10)と(11)で、ソフトバンクのオーナー孫氏とヤマダ電機の山田社長の蜜月の情報を紹介した。
「事業の野望に関してお互いが共鳴をして同盟軍を築こう」
と相成ったのであろう。その基本座標軸は「日本一でなく世界一」である。
確かに野望は日本を超えて世界に目を広げていないと最後の勝負では必ず負ける。
◆ 日本一でなく世界一
タマホームの玉木社長の口癖は
「連結2兆円を達成して住宅業界の日本一になる」
ことであった。
業界では「日本一法螺(ほら)吹き男」と陰口を叩かれていたが、法螺を着実に実現していけば誰しもが批判できなくなる。玉木氏が一歩一歩と実現をしていくに従って「この男は法螺を達成するな」という畏怖の念を周囲に与えるようになっている。
ところが最近はあまり「日本一」に拘らなくなってきた。
拘らなくなってきたというのは「日本一になること」を確信したことで、いまや視野は世界に向かい始めているのである。11月には弊社主催で玉木社長を団長にして「北イタリア住宅視察」を企画している。ミラノを中心にした北イタリアの都市を回って住宅及び住宅関連産業の視察・勉強を行うのである。
同氏とは中国、アメリカ西海岸と住宅視察を行ってきた。その度に様々な住宅に関するヒントを得て家造りに導入してきたのである。このときから玉木社長の脳裏には「世界市場を見据えていた」と言える。
表現を変えれば
「世界市場を見据えるのでなく世界一を目標設定しているのでないか!!」
「世界一になるつもり」でいる。ベトナムから大工職人(研修生)を引き受けることも実行することとなった。単なる日本市場での直営立て方でベトナム職人を活用する目的だけではない。ベトナムいやアジア市場をターゲットにした作戦なのだ。
◆ セキスイの弱点
玉木社長は社内で豪語する。
「いつの日か日経新聞で『タマホームに対抗してセキスイ・大和ハウス2社が共同会社を造った』と報道されることを実現する」
と宣言している。
いまの積水ハウスの惨状を目撃すると玉木社長の野望=『日経新聞発表―セキスイ・大和ハウス連合』記事の実現はいつに日かでなく近い将来に達成するのではないか!!セキスイのコアになる住宅事業はまさしく荒野常態化している。
サラリーマン社長・和田氏の長期政権の組織内は歪が露呈をしている。荒廃の住宅事業に浴している社員たちが浮き足立っているから取引業者も不安を抱き始めだした。
オーナー社長ではあれば必ず人心掌握のために「世界一になるために」というような夢・ロマンを語る手を打つ。社内の暗い雰囲気を一掃するように策を弄するはずだ。現在、全く無策の状態でいる。
和田社長が無策で終始してくれると「サラリーマン社長の油断」という連載ものが書ける。楽しみだ。是非、是非、現状の惨状を放置してあと2期ほど社長を務めていただきたい。多分、このシリーズの連載はヒットするであろう!!
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