サラリーマン社長と創業社長の執念の差 [7]
社長の責任の重さを知る(前)
先達、(株)シフトライフ(福岡市博多区)の社長を辞めた染川幸美氏が9月のある日、相談に来た。相談の案件は「こんな文章が送りつけられて困っている」ということであった。
この文章は下記に資料として添付する。
この文章が当社の関係先に送付され、迷惑を受けていることの詳細が説明された。この(株)九州都市システムという会社は、シフトライフにマンション販売代理を任そうとしている会社である。
取引銀行にもこの回覧状が届いた。この銀行の閉鎖支店用地を当社は払い下げを受け、初めての自社販売計画を検討中の矢先であった。ところが銀行側が
「揉め事が片付かない限り払い下げも融資もできない」
と通告を受け、染川氏は茫然自失となったそうだ。
「社長業というものは無制限の責任を負わせられるものですね」
と実感を込めた発言をした。長年、トップの後ろに控えて有能なビジネススキルを発揮してきた染川氏は、人生の初めてのプレシャーに参ってしまっていたのだ。
確かに企業及び経営者が裁判沙汰になっている案件を抱えていると、銀行は融資を手控えるようになる。当然のごとく新規案件には決着がつくまでは融資実行をしない。
染川氏の内面では経営トップに問われる圧力にオタオタしていたのだ。
筆者は早速、「強い弁護士を紹介しよう」と伝えた。弁護士を紹介する当日になって「他の用事が入った」と突然のキャンセルが入った。
そして後日、同氏から「シフトライフの社長を辞めた」という報告がなされた。
平成19年8月18日 株式会社九州都市システム 御中 前略 貴社が佐賀市において建設されています「アメイズ兵庫北」について、その販売代理をしている株式会社シフトライフの代表についての情報を入手しましたのでお知らせ致します。 同社代表の染川幸美は同氏が以前勤務していた会社に対して詐欺行為を行い、先日、筑紫野警察署に刑事告訴されています。内容としましては「グループ会社の株券を所持しているが、勝手に名義変更されており、これを買戻さないと勝手に流用・詐取したものとして刑事告訴する」旨の脅迫を行い、被害会社から株券代金を詐取したそうです。実際は過去に代金は受領していたものの、会社に事情を知る社員が残っていないこと、会社の資料を国税が押収しており確認資料がないことを承知した上で計画を実行したようです。そして、実際に株券代金を騙し取っていました。 このような詐欺事件を起こす者が貴社の販売代理をしていることは貴社の信用にもかかわりますし、詐欺事件を起こす者が会社に蔓延するのは許されない事ですので、その事実を周知すべく貴社に対しまして情報提供いたします。 以 上 |
(つづく)
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