是々非々で行政と交渉しそして技術力の信用回復を図る~行政からの自立
◆ 100億円を突破
(株)高松組(本社・福岡市中央区・代表取締役社長高松宏氏)は久留米有馬藩21万石の出夫方を勤めていた三井郡御原組に端を発する福岡でも屈指の老舗企業である。創業は大正5年4月で昭和16年5月に法人化した。
また一方では高松一族は数多くの医師を輩出してきたところで学者然とした気風の一党である。
このふたつの要素からビジネスには悠然と対応し業界の世話役に奔走してきた。「俺が俺が、我が社が、我が社が」という私欲、私業欲優先を戒めてきたのだ。実際のところ福岡県建設業協会副会長や福岡建設協力会会長の要職にあり我儘なことはできない。
それ故に高松組の業績は手控えているところに抑えていた。ところが高松宏現社長は「これではいけない。尻すぼみになる」との危機感に駆られ社内の意識改革を行い「攻撃的な社風」の養成を図った。その結果として平成19年3月期には年商100億円を突破した。
「やはり福岡のゼネコンとして100億企業がステイタスシンボルになる。これだけの規模の維持は今後も挑戦し確保していく」
と宣言する。
しかし、冒頭に指摘した高松組の置かれた宿命がある。自社の繁栄だけを考えることが許されない環境にあることだ。まさしく業界の御世話役ことこそが当社の宿命なのである。
業界は今や行政=国土交通省の指導・建設基準法の改正でテンヤワンヤしている。気まぐれとも思われる度重なる行政指導の変更に業界のメンバー達は将来を不安視している状態に陥っている。高松社長は
「行政の指導の問題もあるが、我々の姿勢も脱皮する時期にきている。一口でいえば確実な技術力を復権して業界のさらなるレベルアップに達して社会からの信用の目を高めることだ」
と抱負を語る。
平成17年3月、4月に福岡県西方沖地震の発生と同年11月に表面化した被害耐震強度偽装問題である。福岡市、福岡県という地方自治体を飛び越して国土交通省が後手後手の廻った深い反省から建築基準法の改正を本年6月21日から適応始めた。基礎・構造の強化を義務付けたために全体の建設コストは10%ほど値上がりをした。また建築確認申請が全く受理されなくなった。この状態が5ケ月も続けば周りの同業者は根を上げる。「高松さん!!何とかしてくれ。頼むよ」と相談が殺到している。
建築基準法の改正を待つでもなくスーパーゼネコンの現場ですら今まで考えられないトラブルが起きている。現場管理力が弱体をしている現実がある。高松社長が強調する。
「大手さんで世代間の技術継承の断絶が生じているというようだ。業界自身が未曽有の危機の直面している。まず我々、地元の業者が先頭に立って技術力を磨く行動のデモストレーションが必要である。そのためには行政の方々には言うべきことは伝え現実の現場を理解させる努力の展開が緊要だ。相互の信頼関係を高めてこそ前代未聞の茨の道をクリアできるであろう」
(おわり)
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