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コダマの核心

リスクヘッジ教訓シリーズ (1) 内助の功 (前)
コダマの核心
2007年11月 7日 14:46

 『企業の運命=生き別れ』はその経営者の運力・用意周到さ・法的知識などの差で好照的な明暗が鮮明になってくる。倒産する場合もあるし奇跡の踏ん張りというケースも起きる。場合によっては潰れるはずもないのにアウトになる。
「これだけのダメージを受けたら潰れるはずなのに何故、ピンチを切り抜けられたのか?」
 という不可解な事態もある。

 このシリーズでは様々なスタディケースを紹介しながら教訓化していこう。


◆ 妻を味方にしてこそ生きられる

 戦国時代の武将の妻の役割の見本が山内一豊の才女である。

 この逸話は有名であるから省略するが、現在の中小企業経営者においても、連れ添う妻をいかに味方につけているかで事態が『天獄と地獄』の分れ目になることが多い。

 筆者はこの悲喜交々のドラマを数多く目撃をしてきた。まず身内を味方につければ百万力になる。奥方が後ろで支えてくれたらならば後ろ髪を気にせずに戦線に突入できる。ところがだ。奥様が腹の中で恨みを持っていればどうなる。後ろからドスを突きつけられたならば一巻の終わりである。

 表現を変えれば、妻を味方にできない人間は経営者の資格がないと言ってよい。


◆ 浮気ゲーム

 経営者が女性をつくるのは勝手と言いたいが、異論がある。会社に迷惑をかけないことを条件の女遊びという限定つきであれば許されるかも。

 しかし、今時、親父が一時的な浮気ならいざ知らず、特定の女性を囲ったことが判明したならば黙って耐える妻などはいない。浮気の追及が激しくなればその経営者は精神的に滅入って経営判断の誤りを起こす可能性がある。女遊びは秘め事に留めていなければならない。

 巽の女性好きは有名であった。中国にも彼女がいた。福岡にも彼女が入れ替わり立ち替わり出現した。
 そこまでは許されたのが、二人の彼女に複数の子供を産ませた。毎月の仕送りコストも大変であった。

 子供が大きくなれば不安定な環境に疑問を抱く。中学生になったときに精神的な病気に陥り再起不能になったようだ。親たちの勝手な情事の結果、この世に送りだされた子供は誠に不幸な話である。

 巽の妻は怒りを当てつけ浮気に走り出した。二人の間には三名の子供はいる。さすがというか当てつけ浮気をした妻は当てつけ出産はしなかった。

 巽は死を間近にして外部の子供たちへの相続対策に頭を痛めた。これが死を早めた原因の一つとなった。

 妻は恨みの気持を抑えて葬儀には勝気な振る舞いでその場を凌いだ。相続した株・退職金を巡って会社側と交渉した。未亡人はそれなりの金額を懐にできた。四十九日の法要には会社が後押ししたので形だけの供養が行われた。会社と縁が切れた初盆の法要は一切行わなかった。未亡人の恨み骨髄の仕打ちなのだ。

 巽が天国に行ったのか地獄に落ちたのかは定かではない。だが妻の仕打ちは見ているはずだ。心中の思いはいかがなものだろう。自業自得とはいえどもこちらも複雑な思いである。

(登場者仮名)


(つづく)


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