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コダマの核心

リスクヘッジ教訓シリーズ (2) 内助の功 (後)
コダマの核心
2007年11月 9日 17:45

◆ 再建資金を妻の蓄えに仰ぐ

 内藤の会社が「和議を出した」というニュースを耳にしたときに「まさか」と驚いた。絶句してしまったのだ。

 これまでの情報蓄積から判断しても信じられなかった。技術開発一本の内藤はまさしく技術研究こそ我が命、我が趣味の人であったことは自他ともに認めていたことである。この会社の独自の商品開発力は大手企業にも認められて自社の販売ネットも全国に拡大中という矢先の倒産劇だったのだ。
 早速、取材を開始した。

 取材するに判ってきた。メーカーとして拡販していくと資金立替が大きくなる。また大口の売掛金の滞りが発生する。また商品の研究には膨大な資金が要る。工場には市場に送りだせなかった未開発商品が山と積み上げられている。言うなればこれらがデッドストック、不良債権に等しい。この累積が資金を困窮させた。

 内藤は泣きながら語り
「5日の決済ができないので和議申請を決断した」
 と経過を報告した。

 和議申請後から1年を経過して同氏に再会をしたが、持ち前の自信溢れる風貌に戻った。開口一番に
「今回の非常事態では本当に家内から救われた。一生をかけて恩返しをする負い目を受けた。彼女がこつこつと貯めた資金が1億5,000万円あった。臍(ヘソ)繰り大金のことを知ったときに『うそだろう』と疑った。『とんでもない女傑だ』とも思い知らされた。どうであれ銀行からも資金調達ができないのだから妻の蓄えは10億円以上の価値があった」
 と事後の経緯を説明してくれた。内藤の妻女は非常に地味な方である。


◆ 上場企業に焦げ付き失意のどん底に落ちる

 隆はデザイナーの叩き上げから会社を起こした。事業の立ち上げの苦労から最初の妻とは別離となった。隆の失意の人生から救ってくれたのが現在の奥さんである。質素倹約で一切、無駄をしない美徳を持った女性であった。

「貴方、格好をつけて浪費しないでください。会社の交際費には限度がありますからね。枠を超えたら自前の金を使ってくださいよ。会社経営をしていればどこから鉄砲の弾が飛んでくるかわかりませんから、もしもの時のためには蓄えが必要ですから」
 とかねてから引き締められていた。

 事業スタートして10年目を迎えたある日、隆は彼の奥さんが口癖にしていたまさかの不幸に襲われた。予期もしなかった上場会社の倒産である。3億円の焦げ付きのパンチを受けた。
「10年目を迎えて慢心・油断があったかもしれない」
 と同氏は振り返る。

 それよりも何よりも資金対策だ。全額銀行に相談すれば必ず信用不安が生じる。隆の頭の中はパニック状態に陥った。1週間、眠れずに目元がくぼんでしまった。

 同氏の奥さんは旦那の衰弱ぶりを目の当たりにしていたが、1週間して徐(おもむろ)に口を切った。
「貴方!!まさかの時がやってきましたね。はい、この1億円を使ってください。非常時の資金です」
 とポーンと貯金通帳を投げ出した。

 隆は妻のこのしぐさを見て夢枕の放心状態で立っていた。

(登場者仮名)


(つづく)


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