都築学園の横暴さには弊社が発行する弊誌『I・B』で度々、特集を組んできた。だからこそ今回の都築泰壽理事長の『強制わいせつ罪』での逮捕には驚きはなかった。
ただ過去において驚愕したのはこの学園の資金力である。本当に舌を巻いた。都築学園へ問いただすことも虚しくなることがあった。資金源は学部によっては定員の300%を超える学生を集めていたからだ。 時代がその横暴さを許していた。 |
◆ 岩田屋の不動産買収に辣腕
岩田屋が伊勢丹の傘下になり下がるまでには不動産売却で財務健全化を図る時期があった。
まず筑紫野市に同社はグランドを持っていた。昭和51年から52年にかけて取得したものである。この頃が岩田屋の最盛期であったかもしれない。同社の運動クラブの練習拠点にしていた。これを都築学園が買収をしたのである。記憶に頼れば2万坪を超える広大な敷地であった。あとで記述するが、この敷地に学生寮を建設した。
その後さらに、都築学園の強靭な財政力を見せつけてくれた。1999年にはついに当時の岩田屋天神本館と新館を205億円で買収したのである。今売却すれば500億円の金が転がってくる。300億円儲かる勘定だ。地味で目立たない買い物としては岩田屋が中央区今泉に所有していた体育館も手にした。この場所では同社のバスケットチームなどが練習をしていたところである。今泉も土地の価格が高騰している。とんでもない売却益が出るのは間違いない。
何か寂寥感が漂い筋を通して情報を発信することの無力さを感じた。
福銀に肩入れをするつもりはない。結果論で3~4年前から一部の経済界から批判の声が上がっている。
「福銀さんは岩田屋のメインバンクとしてもう少しまともなところに売りつけば良かったのに。都築学園は天神を中心とした都市構想で、一片の役割も担う意思が全く見られない」
という非難の声だ。
言うのは容易だが1999年当時は日本経済というか福岡の経済が最ボトムにあったときだ。200億円の買い物ができる財力は都築学園にしかなかったのだ。
◆ 桁違いの財力は人を天皇様に押し上げるのか
前述した筑紫野市の岩田屋のグランド跡地に学生寮の建設に着手したとき、太宰府市・筑紫野市のアパート経営者たちが抗議行動を起こした。
太宰府市には福岡経済大学(旧第一経済大学)、第一福祉大学がある。都築学園は地元の地主さんたちに
「学生の安定した居住環境を提供していただきたい。当学園としては精一杯の協力させていただく所存だ」
という要請をしたのである。地主さんたちはその言葉を信じて学生向けのアパート建設をした。
『舌の根が乾かないうちに』という例え話のように信義を打ち破って都築学園が学生アパートを建設し始めた。巨人ライバルの出現にアパート経営者たちが将来に不安を抱くのは当然のことだ。10年、15年のスパンでアパート事業の返済計画を練るのも見通しがあってこそなのだ。都築理事長には『地元との協調・融和』という気持ちはさらさらなかったのである。『俺は教育事業天皇さまだ』と確信していたのだ。
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