全日本同和会大和支部への補助金支出をめぐる混迷の原因は、石田市長の対応のまずさにあるだろう。このことは議会や調査特別委員会のやりとりで明らかになってきている。
そのことを石田市長みずからが認識していないことでさらに混迷の輪が拡がっている。
焦点は石田市長の行政責任、政治責任を迫られているということだ。
住民監査請求は、法令に違反した補助金支出を問題にしており、特別委も法令的な手続きを問題にし、市長の責任を問うている。しかし、大和支部への支出が妥当かどうかは、今のところは問題の中心テーマにはなっていない。
しかし、問題はそこにとどまるのだろうか。議会での質問に石田市長は
「全日本同和会大和支部の代表者と年に1~2回は会っている」
と答えているが、どういった会話がなされたか詳細は明らかではない。
既にこの時点で石田市長は大和支部への補助金支出が継続的になされていたことはご承知のはずだから、大和支部の活動内容についても知っているのは行政のトップとしては当然のことである。
1969年に10年の時限立法として同和対策事業特別措置法が施行され、その期限切れの78年ごろに
「同和問題がタブー視された歴史的な背景と政治的な判断」(市当局)
でトラブル回避のために補助金支出が始まっているのは偶然ではない。いろいろな問題が噴出していた状況であった。
69年の特別措置法の施行以来、33年間にわたって3つの特別措置法に基づき行われてきた同和地区・同和関係者を対象とする特別対策は地対財特法が失効する02年3月31日をもって終了し、同和行政の歴史的な転換を迎えている。
大和支部の「補助金交付申請書」には「事業名」が「同和対策事業」、「事業の目的」として「社会同和教育推進」と明記され、旧大和町は、特別対策ではなく一般予算の中から「事業費」として一般管理費から支出していた。
ならばその事業の点検が当然なされるべきではなかったのか。問題は大和支部の事業が「社会同和教育推進」にふさわしい公益的な組織と活動がなされているのかどうかである。
補助金は、行政では手が届かない、不足しがちな事業活動を推進している団体に支出されるものである。そこには当然きちんとした監督と評価が必要になる。なぜならば、補助金とは市民の税金だからだ。
そうした厳しい視点でトップは行政に当たっていたのかどうか。癒着はなかったのか。議会のチェック機能はどうか、市民が税金の使い道に関心をつよめ、監視していくことがこの問題の真因と解決を図っていくことにつながっていく。
(つづく)
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