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積水ハウスの興亡史 (7) 資材購入の直仕入れと一社購買 |愛する積水シリーズ
特別取材
2007年11月28日 14:30

 田鍋は戦前、朝鮮窒素にいたとき、物動課という工場の原材料の調達の業務を担当していたことがある。当時は戦時下、朝鮮総督府が戦略物資を管理していたので、総督府に行き、材料調達の交渉をしていた。

 この経験で資材調達にもよく精通していた。田鍋の基本的考えは、資材の仕入れは商社、問屋を間に入れず、メーカーとの直取引とすることだった。営業の直販制度と同じ考え方で、直接メーカーと話が出来ることで、直販で得たお客さんの生のクレーム、ニーズを直接納材メーカーに伝えられ、その生の声をもとに、品質の改善、向上に生かすことが出来る。また、商品開発に生かすことができる。

 間に商社が入っていたら、自分達に都合の悪い情報は伝えられない恐れもあると思っていた。直取引は中間マージンをカットでき、その分安く仕入れが出来るのも大きな要因でもある。

 もうひとつ、主たる部材は一社購買するとした。このことは後で記述するが、石油危機が訪れた時、大いに助かるのである。

主な部材の一社購買は次の通り(当時)

屋根材(カラーベスト) 久保田鉄工
サッシ 不二サッシ
外壁
(現在セメント系)
アルミ板神戸製鋼
ハードボード興人(後に倒産)
発泡スチロール積水化成品
鉄骨 住金鋼材
雨どい 積水化学
ユニットバス 積水化学

 
 普通であれば、2、3社購買をして、コスト、品質を競争させるだろう。しかし、田鍋は違った。
「一社購買は信頼だ。わが社は浮気はしません。その代わり、安定供給はしてください」という意味が込められていたのだ。一社に指名されたメーカーは伸び盛りの積水ハウスからの売り上げが、年々、黙っていても増えるばかり。これほどありがたいことはない。

 しかし、神のいたずらか、安定を望まないときがある。昭和48年(1973)突然、全世界を巻き込む石油危機に見舞われるのである。(文中敬称略)

野口孫子


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