九州新幹線全線開通と空港
22年春の九州新幹線鹿児島ルート全線開通によって列車による日帰り圏となる関西・中国地方へ熊本の魅力を売り込もうと熊本県や経済界、観光団体による「新幹線くまもと創り・KANSAI戦略」が29日発表された。
福岡県も九州新幹線開業対策推進会議を立ち上げ、3年後に控えた九州新幹線全通に向けた取り組みを本格化させているが、冒頭紹介したように熊本県も大きな期待を持って準備を行っている。鹿児島県も同様に様々な活動を展開しておりで、沿線各県の22年に向けての期待大きい。
期待はJR九州とJR西日本が九州新幹線全線開業に向けて九州、山陽両新幹線の相互乗り入れに合意。新大阪~熊本間を約3時間、鹿児島中央間約4時間という陸路での移動時間短縮に拠る所が大きい。
沿線都市中心部への直接乗り入れが可能になる列車による所用時間の短縮による経済効果への、そんな地元経済界の期待とは裏腹に、緊張感を持って受け止めているのは新幹線と競合する航空各社だ。
移動距離1000キロ前後を境に飛行機・新幹線何れを使用するか別れるという。現在は鹿児島~大阪間の移動手段は、飛行機が85%の占有率だが、九州新幹線全通で結ばれる新大阪~鹿児島中央間は約900キロで航空各社にとっては激戦を覚悟しなければならない距離といえる。
新大阪との間が約3時間で結ばれることになる熊本の場合は空港までのアクセスにとられる時間を考えると、航空各社の苦戦は必至だ。
福岡県では、博多駅以南の4つの新幹線新駅から乗り継ぎをすることなく関西方面への乗り入れが可能となり、その便利さが福岡空港発の関西圏への旅客を奪う可能性がある。
また、関東方面への移動についても新幹線のみの乗り継ぎで可能となり東京線などの航空路線に若干の影響が出ると予想される。また1日8往復運行している鹿児島便への影響が最も直接的であり、路線の維持さえ危うくなることも考えられる。
九州新幹線全通は競合するこれら空港の利用客数に影響するが、なかでも容量限界を向えると言われる福岡空港の利用客数にどの程度の変化をが呼ぶかということは重要だ。
その数値次第で、今後の福岡空港論議の行く先も決まってくる。
※記事へのご意見はこちら