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NOVA問題の責任を問う 放漫経営を許した監査法人(2)
ビジネス最前線
2007年12月 4日 10:27

粉飾の古典的手口

 この会計処理を見た大手監査法人の公認会計士は「受け取ったお金に見合う役務サービスを提供していない段階なので、本来は契約期間に対応した期間で全額を均等計上すべき性質のお金です」と指摘する。仮に30万円の入学金で3年契約だった場合、年間10万円しか計上できない、はずなのである。約半分を一括して売上高にし、残る約半分だけを期間均等計上するのは許されない行為という。
 実はこうした「収益計上基準」を恣意的に解釈して自社の売上高を大きく見せかけるのは、「経営に困った会社がよく使う手法です」(先の会計士)といい、粉飾決算の古典的な手口だ。ただし、この古典的手口は、猿橋氏だけでできるものではない。有価証券報告書に重要事項としてわざわざ収益計上基準が記載されていることら分かるように、会計処理にゴーサインを下してきた監査法人抜きにはできない芸当である。

成長神話演出の裏技

 直近の07年3月期決算でこの会計処理を「適正である」という監査報告書を出しているのは、大阪市の中小監査法人の「アクティブ監査法人」だが、アクティブにその責めを負わすのは気の毒だ。NOVAではこれまで国内三大監査法人のひとつ「あずさ監査法人」(旧朝日監査法人)が監査を担ってきたが、昨年の9月中間決算時期に突如降板し、突然アクティブに交代した経緯がある。突如受け持ったアクティブが前の監査法人がOKとしてきた会計処理をにわかに翻して否認することは難しいだろう。

 あずさが降板した時期は、ちょうど受講生からの解約時の契約金返還訴訟が相次いで提訴され、NOVA側の敗訴が続いたときと重なる。このため、「いずれは受講料の45%の即時一括売上高計上が問題になると予想したあずさ監査法人が逃げたのではないか」と、大手監査法人関係者の間では見られている。

 この会計処理の仕方は、NOVAがジャスダックに上場する以前から行われていた形跡が大きい。おそらく猿橋氏だけでは思いもつかず、担当の会計士の「指導」の賜物ではなかったか。だとするとあずさ監査法人および、上場審査時に見落としたジャスダックの責任も大きいと言わざるを得ない。

 ともあれ契約時に約半分の受講料を一括して売上高計上できるのだから、NOVAが拡大一辺倒になるのも無理からぬ話である。それによって成長神話が演出できるからだ。NOVAの経費のうち、講師への人件費が年間60億~70億円台だったのに対し、広告宣伝費は年間100億円以上を投じている。受講生を呼ぶために過度にCMに依存してきたことがうかがえる。受講料の約半分の一括計上を監査法人が認めないでいたら、過度にCMに依存した拡大路線をとらなかっただろうし、こんな大騒ぎにもならなかったに違いない。


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