~財界との急接近 夫人同伴で誕生日に飲食 どうなる政治倫理条例~
取材班は、早い時期から吉田市長の「個人的な」一部経済人との飲食についての情報をキャッチしていた。
10月には、中洲中島町の会員制料理屋で、JR九州の最高幹部と飲食を共にする姿を見られていたし、そのほかにも様々な情報が寄せられている。
最大の問題は、9月18日、吉田市長の誕生日である。この日、吉田市長はホテルオークラにおいて、一部経済人との飲食、そして途中からは、同ホテル内の別の店で、市長夫人も参加して飲食を共にしている。もちろんこの日の夕方からは、公務日程は入っていない。
朝以外、公用車の使用もない。私的な会合だったことは裏づけが取れている。
前述したJR九州幹部、九電幹部などが同席したとされるが、福銀から市長の誕生祝いの案内を受けた企業幹部もいたとの証言も得ている。
取材班は、吉田市長に対し、質問書の形でこの件に関しての弁明を聞こうとしたが、回答を拒否された。また、正式な取材申し込みにも応じていただけなかった。都合の悪いことには決して答えないという市長は、福岡市政史上はじめてだろう。記者出身が聞いてあきれる。
吉田市長夫人には電話での取材に答えていただいたが、要約すると次のような話である。
「9月18日はもともと数ヶ月前から食事会が予定されていた。たまたまその日が誕生日だったということ。(指摘される)誕生日だからということではない。博多山笠の台上がりのメンバーと(の食事会)。スケジュールは全部役所に管理してもらっている。たまたま皆さん、ずっと前から親しいので、呼ばれただけ。たまたまその時に、途中で『僕、誕生日なんですよ今日』と主人が言ったので、『あ、そうなの』って話になって、そうしたら私も前から親しくしていただいていた方々が多かったので、『じゃ、奥さんも呼ぼうよ』と言うことになって(参加した)。
1時間ちょっとの時間。(二次会の)バーの名前は知らないが、バーは1件しかないと思う。会費については、私は知らない。ただ、キープボトルなんかは私自身も持っているので、二次会に関しては、かかっても200円か300円ではないか。皆さんもキープボトル持ってらっしゃるので・・・。じゃ、ないでしょうか、知りませんが。誰のお酒を呑んだのかは知らないが、あるものをいただいた」とのことであった。
また、同席した経済人のうち、九経連の鎌田会長とJR九州の石原社長については認めていただいたが、あとのメンバーについては、話すべきことではないとしている。
取材班としては、たまたまかどうかは、あまり関係がなく、私的に財界人と飲食を共にしたかどうか、そこに夫人が出席したのかどうかの確認をしたかっただけなのだが、夫人は「メディアは勘違いしている」として、誕生祝いではなく、たまたま食事会が誕生日だったことにこだわられた。
ズバリ指摘しておくが、市長が私的に財界人と飲食する、そこに夫人も同席するということがどういうことか、市長自身の口で釈明いただきたい。
福岡市には「福岡市長の政治倫理に関する条例」が存在する。第3条に政治倫理基準の項目があり、次のように規程されている。
(1)政治不信を招くことがないよう、品位と名誉を損なう行為を慎み、その権限又は地位のもたらす影響力を私的な目的のために行使しないこと。
(2)その地位又は権限を利用して金品を授受しないこと。
(3)市民全体の利益の実現のために全力を尽くすことを基本とし、特定の者の利益を実現するために、職務執行上の有利な取り計らいをしないこと。
そしてその(4)の2には、
「市長は、政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑をもたれたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。」
とされている。
市職員には厳しい倫理行動規準が規定されているが、利害関係者(職務遂行により直接に利益又は不利益を受け得る者。即ち職員と職務上の利害がある者)と一緒に食事をすることも禁止行為とされる。割り勘での飲食は例外としているが、夜間における簡素でない飲食については、倫理監督者への届け出が必要になる。
ホテルオークラでの飲食が簡素なものとは思えないが、市職員を管理・監督する最高責任者であるはずの市長自身が、私的に一部経済人と飲食を共にしたばかりか、夫人まで呼んで同席させたことは職員に対し、示しがつくまい。
防衛省の守屋前次官が、夫人同伴で接待を受け、賄賂を受け取ったとして逮捕された。
まさに公人のプライベートのあり方が問われている
吉田市長はこの問題について、出席者や費用の問題も含めて、きちんと説明すべきであろう。
もちろん、この問題だけでなく、次に記す疑問にも答えてもらいたいが・・・。
つづく
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