地方分権とは・地方分権と地方議会
<地方分権とは>
地方分権を「自立」との兼ね合いで言うと、まず、自治体が自律的に考えられるように、権限を委譲し、自治体が自分の裁量で使えるお金を増やし、ひもつきの補助金も減らすという財源の委譲も行う。
もうひとつ、住民から支えられやすいような環境をつくる。つまり、国の関与を減らし、住民の参画を促していく。
自治体は国に監視され保護されている。借金するにも国の許可がいる。自由に出来ない。国にお伺いをたてないといけない。
家庭で言えば、借金するのにみなさんご夫婦で話し合ってきめる。わざわざ町内会長に相談などしないし、家庭の問題は家庭で決めるもの。自治体だって同じはず。
自治体の経営は自治体自身で決める。最終的な承認の場は議会だが、もし議会が頼りなかったり、例えば大きな箱ものを作るとか重大な案件があれば住民投票で決めればいい。
国がいいか悪いかを決めるのではなくて、住民自身がいいか悪いかを決める。これが住民によって支えられるということ。
地方分権というと、知事や首長の権限が強くなることだと勘違いしている人もいるが、主権者である住民がその自治体の方向性やお金の使い道、政策を決めていくことが本当の地方分権に他ならない。
<地方分権と地方議会>
地方分権を進めると「議会中心主義」になる。権限や財源が委譲されることで、「条例」によって議会で大概のことを決められるようになる。これまでは、橋を架けるなら補助金をあげますというように補助金を付けていた。官僚に裁量権があった。その裁量権が議会にシフトする。
しかし、「私たちが選んだ代表が決めてくれる」と喜ぶ人もいるかもしれないが、「あの議員達が決めるのか・・」と不安に思う人と反応が分かれるのではないか。
何が言いたいかと言えば、地方分権の時代は地域経営に最終の決を与える議会、議員がきちんとしなきゃいけない、させなきゃいけない、ということ。
だから地方分権の時代は出来るだけ良質の議員を選ばなければならない。
これが最大の課題になる。
で、現状はどうか。地方自治はゴールのない運動であって、完成がないが、現状では自治体に対する評価は低い。これまで言ってきたような「自立」が出来ているかといえば、そうは言えない。
つづく
片山善博/鳥取前知事・慶応大学教授講演動画(初回と同じ内容です。) https://www.data-max.co.jp/kensei/2007/12/mail12-03/k-12-03_01.asx
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