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特別取材

積水ハウスの興亡史 (15) 下請け政策 | 愛する積水シリーズ
特別取材
2007年12月10日 19:44

 田鍋は下請け(特に現場で施工に携わる協力工事店)を大切にした。積水ハウスには、全国の各事業営業所(現在は支店)に協力工事店の集まり、ハウス会が組織されている。その上に、ブロックごとに、例えば関西ハウス会とか関東ハウス会が結成され、田鍋は年に一回、必ず、各ブロックのハウス会連合会に出席していた。全協力工事店が一同に会し田鍋の話を聞く会でもあった。また、酒を酌み交わし、胸襟を開き、田鍋の暖かい人情味のある人柄に直に触れた工事店の社長達はいっぺんに田鍋ファンになる人が多かった。

 田鍋がいつもその席で言っていたことは、「積水ハウスの建築現場が第二の工場である。そこで働く工事店の職人の方々も積水ハウスの社員と同じである」と、工事店を位置づけたのだ。

 社員には「労、労」、工事店には「元請け、下請けは無い」。常に上下は無い、皆一致してお客さんに良いものを提供しようという経営方針だった。一度も工事店への発注を下げることを許さなかった。

 最近、このNETIBの記事の中に、大東建託の下請けいじめのようなことが報告されているが、この記事のキャンペーンにより大東建託が値下げ方針を撤回したという。何よりすばらしいことである。一律5%の値引き、値下げの根拠は何なのかわからないが、客観的に見て、当然下請法によれば親事業者の禁止事項の下請け代金減額の禁止に抵触するのではないかと思う。

 最近、原油、鉄、非金属等の原材料の値上がりに伴い、また、住宅着工減により、住宅メーカー各社には減収減益を発表するところもある。だからといって、しわ寄せを下請けに持っていくことは大企業の横暴としか写らない。現状の工事コストの中で、材料費、労務費、経費、どれをとっても値上がりはあっても、値下がりは無い。値下げの合理性、論理性はないのではないかと思う。

 親が繁栄してこそ、子は生きていける。親がこければ、あなたたちはないよ、という気持ちもあり一律5%とやってしまったことなのだろう。しかし、やり方が間違っていたのではないだろうか?ここは親が苦しいから何とか協力を!と日常の信頼関係の構築があったなら、下請けも同様苦しい中から、5%にはならずとも何とか協力しよう、となったのではないかと思う。(文中敬称略)


野口孫子


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