希望の瞳と厳しい現実
郡知事がカンボジアの将来にとっての教育の重要性と、CMCへの感謝、そして地域住民の喜びを丁寧な言葉で述べたあと、私からの挨拶になった。私はこれまでの CMCとカンボジアとの関わりについて話したあと、学校名に安倍さんの名を冠した理由、日本の多くの人たちの善意によって建設資金の調達ができたことなどを述べ、子供たちに勉強して立派な人に育つよう期待を込めてスピーチした。
ここで子供たちから、CMCの援助や学校建設への感謝を込めた歌が披露された。何度も練習したらしく、みんな私の方を見て、笑顔で歌ってくれた。その瞳は希望でキラキラと輝いていた。
バッタンバン州の代表は、深い感謝の意を表しながらも、いまだに厳しいカンボジアの現状を訴え、水・道路・衣料・教育の分野において引き続き支援が必要であることへの理解を求めた。
そして、いよいよテープカット。新校舎前に集合した参加者全員が見守るなか、関係者の手によってテープにハサミが少しずつ入れられていく。私のあと、州代表によって、ついにテープは切り落され、校舎への入場となった。塗りたての壁の匂いが残る教室に、ヨアン先生と子供たちの手による真新しい机と椅子が並んでいた。
外に整列している子供たちに、プレゼントのノート2冊と風船を1人ひとりに手渡し、学校落成のセレモニーは無事終了した。
つづく
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