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積水ハウスの興亡史 (17) 危機管理 | 愛する積水シリーズ
特別取材
2007年12月13日 13:03

 今ほど危機管理が叫ばれてる時代はない。先述したように、時代の動きが早く、それに追随出来ない経営者が多いように思える。積水ハウスも高度成長期で住宅需要が増大するとともに、プレハブ工法が社会のニーズと一致、政府の奨励策もあって急成長した。時代の流れに乗ったといえばそれまでだが、同じ頃、同業他社も参入しながら、敢え無く消えていったこと、そして、積水ハウスが業界トップを保持していたことは、田鍋の信じる経営哲学を実践したのが要因であった。

 後で論及するが、田鍋が策定した積水ハウスの経営理念は「人間愛」。すなわち、人を大切にする思想で、お客さんも、社員も、職人も、納入業者の人も、積水ハウスを取り巻くすべての人たちを大切にしたのである。

 ある危機管理の本の中にこんなことが書いてあった。「社長、限界でしょう」、こんな言葉を耳にしたら、気分を害さない社長はいないだろう。最近企業の不祥事が相次いで発覚、社長、幹部がカメラの放列の前で、頭を下げているシーンを幾度見かけたことだろう。
頭を下げることが危機管理のキーワードだというのだ。謝、調、原、改、処、この5文字をつなげたら、「社長、限界でしよう」、の言葉になる。
1被害者への謝罪
2調査結果の報告
3原因の究明
4改善などの提案、
5関係者の処分、賠償

 これは必須項目である。ただ、頭を下げ、謝るだけで済む問題では無い。どれが欠けても不十分として、糾弾される。謝罪の意図、真意が消費者、国民に伝わらず、最悪、会社の倒産に追い込まれることもある。社長は日ごろから、呪文のように唱えていたほうが良いのではないかと。

 危機管理は事が発生した時の対処方法を考えるのであるが、事が発生しないようにするには、人々を大切に、お客さんが大事なら、偽装のものを嘘ついてまで販売は出来ないはず。従業員が大切なら、責任を被せるでなく、社長、幹部の責任だと言えるはず。仕事、商売でも、原点は「人間愛」にあると思う。


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