～市局長 → 市外郭財団理事長 → 監査委員　身内同士の馴れ合い指摘も～
　
　福岡市議会における政務調査費の使途を巡っては、数々の疑問を呈してきた。市民オンブズマン福岡が提出した住民監査請求が「門前払い」されたことも報道の通りなのだが、その結論を出したのは福岡市の監査委員2名である。

　本来4人の監査委員が任命されているが、うち2名は現職市議、従って政務調査費を使う側の立場である市議2名を除き、たった2人で今回の「門前払い」を決めたことになる。
　公認会計士である1名については何も申し上げるつもりはない。
　しかし、竹本忠弘監査委員については、その適格性について疑問を呈しておきたい。

　竹本氏は元福岡市職員である。平成15年3月まで農林水産局長を務めた後、その年4月から、福岡市が100％出資している「財団法人・森と緑のまちづくり協会」の理事長に就任する。
　平成17年3月までの2年間その職にあり、同年7月から福岡市監査委員に就任している。

　福岡市の幹部職員はその在職中、何かと議員との接触が多い。接触というより、ご相談と言ったほうが分かりやすいのかもしれない。
　市議会では議案が通らなければ市政が停滞する。必然的に多数会派の議員に気を使わなければならなくなる。局長出身の監査委員が、本当に旧知の市議達が困るような結論を出せるのか、はなはだ疑問である。

　本社取材班は、住民監査請求に対する福岡市監査委員会の結論に関して、極めて悲観的な見方をしていた。その理由は、12月議会開会を前にして、吉田市長が市議会に対し「目的外使用であるから、政務調査費を返還せよ」と言えるとは思っていなかったことが第一。
　次に、監査委員の1人が、あまりに市議会に近すぎて、議員達が困るような結論だけは避けようとするだろう、との見込みからである。
　役所全体に、市議会との対立を避ける風潮があるのは、全国どこの自治体も同じかもしれない。
　しかし、政務調査費の目的外使用について、きちんと返還が命じられている自治体のケースも多い。門前払いの自治体もあるにはある。しかし、問われているのは福岡市の健全性であり、市議会自体の自浄能力である。
　結論から言って、そのどちらもなかった、ということに他ならない。

　三番目に、福岡市側も議会側も「どうせ裁判に持ち込まれる」との前提で動いていることが上げられる。
　監査委員会が目的外使用を認定し、返還請求を結論付けて敵を作るより、裁判所で判断してもらえばいい。そうした思惑が透けて見える。それほど「どうせ裁判」との言葉を様々な関係者から聞かされてきた。これでは、まともな結果を望むことはできまい。

　吉田市長にも、政務調査費の問題に手をつける姿勢は見受けられなかった。市議会との摩擦を避けたいのであろうし、その意向が監査事務局に伝わったとしたら結果は出る前から分かっていたとしか思えない。
　自身の会社の家賃や人件費がどうして「調査・研究」として認められるのか。戻入逃れの切手購入が何故返還対象とならないのか。選挙間際の大量切手購入が何故まともな政務調査なのか。これまで市政ニュースで報じ続けた事案には、多くの市民から怒りの声がよせられている。
　市議会は「これからは制度を変えます。全ての領収書を添付します。」でことを済ませるつもりらしいが、そうはいかない。
　もちろん、監査委員の出した「門前払い」などという結果が、正しいものでは無かったことがこれから証明されていくだろうし、監査委員の適格性も問われなければなるまい。

　ここで、監査委員について、ひとつの事実を報じなければならない。一部の監査委員がいかに市民感覚からずれた存在であるかということを示すものである。　　

つづく

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