またもや騙された「合併特例債」
しかし、冷静に考えたら、借金まみれの政府が、自治体の面倒などみてくれるはずはない、ということぐらいわかるはずだ。地方のことより、国債の償還にお金を使うに決まっている。
政府を信頼して、借金をしまくって事業をしたのに、交付税を減らされて首が回らなくなった小さな自治体が沢山出てきた。そこで政府は次に、「市町村合併」を持ち出した。
そして合併に際して、政府はまたもや「合併特例債」なるものをつくりあげた。合併した市町村は公共事業が出来て、ハコモノでも何でもできますよ、後で政府が交付税を上乗せしますから、と言った。
一度は懲りたから、さすがに今度は騙されないだろうと思ったら、またもや騙された。「合併特例債」につられて、3200あった自治体は1800になった。
どうしてこんなことになるのか。騙されている渦中にもう一度騙されたようなものだが、全国で市町村の合併がすすみ、「合併特例債」という借金がどんどん増える。
ただでさえ政府も地方自治体も借金まみれになっているのに、また増えるのだ。その額は、10兆円とも20兆円ともいわれている。
知事の時に、総務省の役人が、あまりにも合併を勧めてくるので「あなた方は合併を勧めるけれど、どうやって、『合併特例債』を始末するつもりなのか。
交付税を上乗せするかと言っているが、その財源はどこにあるんだ。消費税を上げるのか、それとも、三位一体の改革を進めている中でも、交付税に回すお金を増やしてくれるのか」と聞いたら、何にも答えられなかった。
「どこにもそんなお金はないのだから、こうなったら最後の手段で北朝鮮みたいに偽札でも刷るしかありませんね。」と言ったら、また返事がなかった。
偽札は冗談としても、2~3年後には合併特例債の償還もピークを迎える。
しかし、交付税は減る。また、政府が自治体を騙そうとする時が来る。ここで騙されたら、まさにもの笑いの種だが、残念なことに、騙されやすい人は何度でも騙されてしまう。
結局「自立」していないからだ。自分の力で考えようとしなかったから、騙されてしまう。
つづく
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