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積水ハウスの興亡史 (18) 減収減益 | 愛する積水シリーズ
特別取材
2007年12月14日 12:10

 積水ハウスは順風万帆に業績を伸ばしていたわけではない。昭和57年(1982)20年連続の増収増益を達成していた。しかし昭和58年(1983年)、世界経済、日本経済の足取りは重く、住宅着工も減ってきてきた。住宅の販売競争も激化していた。

田鍋は年頭の所信で次のように社員に表明した。「今年は住宅産業の競争激化の年、優勝劣敗が明らかになる年と覚悟を決め、勝ち残るためには「不況のときこそ、躍進のチャンス」「苦しい時こそ勝つ喜びを」「顧客第一」の心構えが必要である。幾度か苦しい時を乗り越え、皆が力を合わせ乗り切り、ライバルに水をあけてきた実績がある」と田鍋は創業時の壮絶な苦難の時代を彷彿としてきて、闘争心が湧き上がってきたのだろう。

 社員も必死に頑張ったが、田鍋の檄にもかかわらず、田鍋が予感、危惧した通り、昭和59年(1984)1月の決算は21年ぶりに、初めて減収、減益になったのである。他社も同様に売り上げを落としていたので、減収、減益にもかかわず、業界トップの座は守ることができたのである。

 その後、昭和60年、61年、62年と住宅着工の低迷が続いたが、積水ハウスは僅かな増収増益を続けていた。住宅不況が長く続き、苦難の時期であった。

 昭和63年(1988)になり、ようやく、日本経済も長い不況を脱し、積水ハウスも目覚しい伸張を示しはじめる。田鍋はこの時、試練を反省と捉え、過去のお客様60万(当時)世帯全件を訪問させ、お客様との繋がりを、取り戻すことを指示したのだ。
「何か不自由ありませんか」「何か役に立つことありますか」と扉を叩き、お客様とのコミュニケーションを図ることを望んだのであった。これが、現在のカスタマーズセンターの活動の原点になっているのである。(文中敬称略)

野口孫子


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