ピアス工場跡地のアスベスト問題 その2
12月12日柳川市議会質疑から
一般質問の2日目は、三小田一美、島添勝、伊藤法博、古賀澄雄、山田奉文の5議員が登壇した。三小田議員はピアス問題の今後の処理について市長の考えを質したが、市長の回答をめぐり紛糾し、休憩をはさむ一幕もあった。
〈三小田〉
1、ピアス社が本年で撤退するが、アスベストまみれ・産廃の土地と建物 をどのように利用する考えなのか。本年末で賃貸の契約が切れること は前もって分かっていることなので利用についての検討結果を聞かせて下さい。
〈石田市長〉
跡地検討委員会で議論し、企業誘致、福祉施設ゾーンなど提言されて いる。合併後アスベスト問題が明らかになり、民事裁判も進行中であり、行政の判断としては司法の結論が出ないとどうするとは言えない。
〈三小田〉
裁判の進行とは別問題の議論である。昨日の答弁ではアスベストの存在について当初は市長もピアス社も「知らなかった」とすればピアス社に瑕疵担保責任があると考えていいのか。
〈石田市長〉
ピアス社に瑕疵担保責任があると考えている。
〈三小田〉
ピアス社は特別委で「瑕疵担保に該当するのではないか、持ち帰って検討する」と発言している。しかし今、ピアス社は「法的責任はない」と発言していると、市長は回答されている。なぜピアス社が法的責任はないと発言しているか、その理由について市長はどう考えるのか。
〈石田市長〉
司法の場でのやりとりについて、私の勝手な解釈はできないので答弁は差し控える。
〈三小田〉
なぜできないのか。
〈石田市長〉
アスベスト問題についてはピアス社に全額負担による除去を求めている。
弁護士との話の中身については差し控えさせて頂く。市の態度としては、ピアスに責任があるという立場である。
〈三小田〉
瑕疵担保に該当すると認識してから、どう手続きや対応をしたのか。
〈石田市長〉
昨年瑕疵担保責任の期限が切れると言うことで、延長をしたではありませんか。
〈三小田〉
民法第566条の3によれば、昨年瑕疵担保については、発見されてから契約の解除又は損害賠償の請求は買い主が事実を知ってから1年以内になっていますが、どういう手段を講じられたのか。もう何年経っているのか。
〈石田市長〉
6月議会で調査費の提案をしたが議会で否決された。アスベストの数値や費用がいくらかかるかを、相手に話しをしなければならない。根拠が必要だ。
〈三小田〉
除去には坪20万円かかる、とピアス社も言っている。「議会が予算をつけなかった」と言われるが、市長の姿勢が心配だからそうなった。
瑕疵担保については、賠償責任は事実を知ってから1年以内に契約の解除又は損害賠償の請求をしないと消滅の時効が発生する。アスベストの存在を知ったのは遅くとも17年12月議会だ。アスベストの除去を市民が負担することを市民が心配している。
〈石田市長〉
特別委で明らかになったのはおおまかで、アスベストがどこにどれだけあるかは分かっていない。精査する必要がある。話し合いがつかないと裁判を起こさねばならない、そのためには客観的な数値を出すことが賠償の要件になると言ってきている。
〈三小田〉
買い取りのときから問題が生じている。旧町長時代の杜撰さが問題を大きくしている。アスベストの処理について責任を取って頂きたい。
〈石田市長〉
私の行為については個人で行ったものではない、公人だ。議会の承認も頂いている。
─議場から市長答弁への疑義、休憩─
その後、質疑討論が行われたが、同様の展開となった。また三小田議員は「契約時にピアス社の証紙が貼られていない、原本の開示を」と追及した。
市当局は「双方のミスがあり、改めて交換をやり直した」との答弁があり、原本の開示が当日行われた。
こうして昨日に引き続きピアス問題が討議されたが、きちんとした解決の糸口が見えない。土地と建物の購入から既に4年以上経過し、購入金額の民事裁判もありアスベスト、産廃、土壌汚染など解決が急がれる。にもかかわらず堂々巡りで、まさに「会議は踊る」である。
その原因はどこにあるだろうか。現象面でみれば、石田市長擁護派と反市長派の議会内対立の図式であろう。そして市長の解決に向けてのスピード感が見られないことであろう。
市長擁護派に言わせると、「ピアス問題で市長のイメージダウンを計り、市長を追い落とそうとし」ている、ということになる。当然、反市長派は否定する。しかし、こうした物差しで見ていても事態の進展は図れないことは議会人としてとうぜんご承知のことであろう。
市長もあらゆる疑念を払拭するために議会にも市民にも迅速に説明し政策針を明示することが緊急に求められていると思われる。
★ピアス跡地の土壌調査結果の中間報告─産廃の可能性が高い
13日の市議会全員協議会でピアス社跡地の土壌調査結果の中間報告が行われた。
福岡大学の松藤教授によれば、工場が産業廃棄物の投棄や排水を行った可能性が高いが、有毒性は見られないというものである。
化学物質や油分が隣接の畑と比べて5~8倍高く検出され、土壌汚染対策法の対象となるヒ素・フッ素が基準値を超えているが自然界に存在していたものであるとの結論である。
また土壌の薬品臭については、におい成分を早く分解するための対策が必要である、との報告があった。
★ピアス問題の集中議論を
この報告をうけ議会でピアス問題の早急な解決のために集中議論が必要であるとの意見が急浮上。
議会筋によれば全員協議会という形ではなく、いまの議会か又は臨時議会で議論をひとつひとつ詰めていく、ということになろうということである。
次回は市民の動きについて追ってみたい。
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