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特別取材

積水ハウスの興亡史 (22) 工法の合理化 | 愛する積水シリーズ
特別取材
2007年12月20日 09:36

 田鍋は協力工事店を最も大切にした。積水ハウスの第二の工場と位置づけ、心情的には社員と同じ気持ちで接していた。このような関係だったから、工事店に対して理由なく工事費の発注を下げることは許されなかった。かと言って、競争に勝つためには品質維持しながらコストダウンを図らなければならない。日本の建築現場は欧米に比べ、生産性が低いと言われている。もっと、合理化できないかという課題を抱えているのである。

 石油危機以来、工事店は工場からの出荷材以外の、従来自分たちで材料を仕入れていた部材も、本社の一括購入で支給されるようになっていたため、ほとんど手間請け状態になっていた。

 残るは、工法の合理化、生産性の低い部門、例えば、建具、電気工事、水道工事などの合理化を図ることに着目したのである。労務費のカットは厳禁を原則に、今行われている工事方法を合理化できないか検討を加えたのであった。

 まず初めに、建具。今では当たり前であるが、建具の量産化を考えたのである。従来の現場は大工が一番偉く(今でもそうかもしれない)大工の間仕切り工事が終わらないと、建具屋は現場に入れなかった。部屋の間仕切りの大工工事が終わるのを見計らい、現場に行き採寸し、それに基づき、建具を製作、そして、現場に搬入、取り付け調整して完了となっていた。

一軒一軒、建具の寸法は違っているため、オーダー生産と同じ、しかも建具屋は大概は、零細企業、品質も材料も工事店傘下の建具屋によって、品質管理にバラつきがあり、クレームの多いのが建具で、NO1であった。現場に二回、採寸と取り付けに行くことによるコストの無駄、品質のバラつきを解消するため、発想を逆転。枠つき建具を現場に搬入、それに大工が間仕切り壁を納めてもらうことにしたのだ。

最初は大工の抵抗もあったが、職人も社員と同じという田鍋の考えが行き渡っていたので協力してくれたのである。建具は量産工場から出荷され、品質のクレームは激減、量産によってコストダウンにも寄与したのである。後述するが、電気工事、続いて、水道工事へと工法合理化が図られることになるのである。(文中敬称略)

野口孫子


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