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積水ハウスの興亡史 (23) 社員を大切にしよう | 愛する積水シリーズ
特別取材
2007年12月21日 10:30

 「社員を大切にしない会社は必ず滅ぶ」こんなサブタイトルのついた本が売れている。また話は横道にそれるが積水ハウスは「人間愛」を基本理念にしている会社である。この基本理念を作ったのは田鍋である。田鍋は晩年、自分の経営者としての集大成として、自分の経営哲学としていた、「人間愛」を主軸に据え積水ハウスの基本理念としたである。

 しかし、こんな崇高な理念を持ちながら、最近では社員の流出が多いのではないだろうか。優秀な人材が入社したものの、崇高な経営理念とあまりに違うことに気がつくのだろう。退社してしまう社員が多いと聞く。直販システムをとっているため、泥臭い訪問販売に耐えられないこともひとつの理由だろう。昔は店長がそれをうまくフォローしてやっていたが、自分の数字を挙げるのに精いっぱいでそれすらできない店長が増えているのではないだろうか。

 それでも未来に夢があれば、救われ、頑張ろうという気概が沸いてくるだろう。しかし、現場にあるのは、モラール(士気)の低下による組織の中の沈滞ムード、本来、社員の気持ちが外に向かわなくてはならないのに、内向きに志向になっているのではないだろうか。漏れ伝わる話では、ボーナスの個人差も、近年では、200万円も300万円も差があるとか。すなわち、ダメ社員には5~6万円、売っている社員には300万円とかまたはそれ以上の額。同じ組織の中で、それだけ差をつけられたら、組織として、どのように戦略を立てようかという議論も、仲間として出来ないのではないか。負け組みから、意見が出るわけもない。出ても、実績のない者の意見が通ることは無いだろう。ますます組織は機能しないのではないだろうか。

 仕事をしないのを優遇するという意味ではないが、人間の可能性を引き出す努力を惜しまず組織として応援出来るよう、もう一度原点に立ち戻り、人を大切に育てるという視点からやり直すときではないだろうか。そうでなければ、表題の通り、会社の先行きが不安になる。

 和田社長の威光を周辺の役員、幹部が借りて、会社内では暗黙の言論統制が空気として流れてはいないか。上層部を批判できない雰囲気が作られ、お客より、上司や上層部を見て、仕事をする会社になってはいないだろうか。

 平成18年(2006年)内部告発を促すため、「公益通報者保護法」が施行された。積水ハウスの中部、東海地区の営業停止をはじめとして、これまで企業をめぐる不祥事はほとんどの場合、内部告発と言われている。自分の会社であっても、おかしいことはおかしいと言える、会社に対するロイヤリテイより、正義を唱える精神性が社員にあるのだということを理解すべきである。(文中敬称略)


野口孫子


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