ピアス工場跡地のアスベスト問題 その4
柳川市議会全員協議会、本会議最終日から
「ピアス社、瑕疵担保再延長の意思なし」市として損害賠償請求に踏み切る。
20日に市議会全員協議会が開催され、市当局からピアス社との交渉の経過が報告された。
それによると、12月17日、ピアス社から「瑕疵担保責任の再延長には応じられない」との回答があったということである。
それをうけて市としてピアス社に対して損害賠償請求を送達することになったものである。早ければ25日にも大泉副市長が大阪に出向き直接ピアス社に手渡しすることにしている。
瑕疵担保による損害賠償請求により瑕疵担保責任の時効が中断し、売買契約から10年間の損害賠償請求権が生じたことで2013(平成25)年まで請求権が消滅しないことになった、と市より説明が行われた。
こうした市当局の考えについて議員から質問や批判が相次いだ。
「瑕疵担保責任の延長にはピアス社は応じてこないことは分かっていたことだ。対応が遅い」や「ピアス側が全責任をもってアスベスト除去費用を負担すべきだ」という批判や「損害賠償の金額はいくらか」という質問も出されたが、市当局としては「これから相手側との話しになるので金額が一人歩きしたら困るのでこの場では言えない」という回答がなされた。
いっぽう市民からは「損害賠償請求は当然だ」という声があがっている。
・問題の解決につながったのか?
12月の市議会における市長と議会多数とのやりとりも含めこの問題が一歩前進したと言えるのかどうか、非常に疑問が残るものだ。
なぜなら、ひとつは市として損害賠償請求をピアス社に起こしたといっても提訴したわけではないということだ。あくまでも「交渉」─話し合いを始めたにすぎないからだ。
既にピアス社は「調停」の声すら出ているとも噂されている。ということは、ピアス社は「全額負担できません、市も応分の負担を」という内容になる可能性が充分にあるということである。
このことは、市長の「ピアス社も態度を変えてきた」という答弁からも予想できるものである。
市はこれまで「瑕疵担保責任の再延長の交渉」を主張してきたと答弁を繰り返してきたが、それがなぜ出来なかったのか、という反省が全然見られない。
裏を返せばピアス社をとことん信用しているということであろう。
信用している相手を裏切るような行為は出来ないのであろうか。そもそも、完全撤退するピアス社に瑕疵担保責任の再延長を申込むこと自体がおかしいい話ではないだろうか。
そしてまた、再延長をピアス社が合意するだろう、という想定で問題を考えること自体がピントはずれである、と言わざるをえない。
そしてもうひとつは、瑕疵担保による損害賠償請求をしたことにより、あと5年間は請求権が続くことになった。これは裏を返せばあと5年間は問題解決が先送りされることにもなることを意味する。
下手をすればピアス社跡地が「塩漬け」にされたまま、その価値・評価が低下し、売ることも使用することもできなくなるということでもある。
こうした例は福岡市を始めとした自治体で問題になっている。一番怖いのは跡地の「塩漬け」と同時に市政も「塩漬け」になってしまうということだ。
今回の市の方針は場当たり的という批判もある。ピアス問題の原点に返った解決策が根本的に求められていることを逆に示したと言うこともできる。
━━━━ 速報
~柳川市ピアス化粧品土地取得に関する
住民訴訟判決言い渡し日・3月11日午前10時福岡地裁で~
25日10時より、福岡地方裁判所で石田宝蔵市長を被告とするとする「ピアス工場跡地・購入費用全額5億4千万円の返還を求める住民訴訟」(原告・柳川市民グループ)法廷が開かれ結審した。
判決日は来年3月11日に言い渡される。
つづく
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