質の高い自治体経営を
結局のところ、現状では「自治体の自立」が確立されているとは言いがたい状況だ。
その根源は「議会の不全」と断じてもよい。
しかし、いくつかの自治体には「自立」に向けてすでに前向きな取り組みが始まっている。
例えば、自治基本条例や議会基本条例のなかに、住民投票を義務付けているところも出てきた。これまで住民投票はほとんど行われることもなかったが、これはおかしなことだと思う。
住民が主体、住民が主役なのだから、自治体の運営に際して困ったことがあれば住民に聞いてみればいい。
議会だけでものごとを決定しようなどと力む必要は無い。大きな問題は住民自身に選択してもらえばいいのに、どうして住民投票が行われないのか。
それは、「結論はかくあるべし」というこだわりを持っている人が多いからだ。こだわっているから、住民投票で自分の結論とは逆の結果がでると困ってしまう。
こだわらなくていい。割り切って住民自身が決めたことを尊重すればいい。(財政破綻した)夕張市を見ているとつくづくそう思う。
夕張市にはいろんな「ハコモノ」があるが、それらを建設するための借金をする際に、住民投票を行っていたら、あれほどの「ムダ遣い」は起きなかった。
例えば、「ロボット博物館」なんてものがあるが、夕張市民で誰が行くだろうか。誰が必要としているだろうか。住民にきけば「NO」となるところを、国にお伺いをたてるものだから、「景気対策おおいに結構」ということになる。
だから、住民投票はどんどんやるべきだ。岩手県の宮古市では、市民からの一定の要求があれば、即、住民投票を行うというように条例に定めてある。
あとは、公聴会や参考人質疑を積極的に行っているのも評価できる。条例はほとんど役人が作るようになってしまっているが、その欠陥に気づかぬまま通してしまうことが多すぎる。
条例案を作っている本人が「この条例は問題があります」などと言うわけがないのだから、公聴会や参考人質疑で専門家に意見を聞いて役人が言っていることの「裏を取る」ことが必要だ。
もちろん「結論」が決まってしまう前にやらなければならないが。こういうことを条例に盛り込んで、質の高い自治体経営を行うことが求めれている。
゜議会というものが本来のMISSION(使命)を取り戻し、活発な議論が出来、きちんと住民の付託に応えられるようになることが、今後の「自治体の自立」の鍵を握るだろうと思う。
動画/初回と同じです。
https://www.data-max.co.jp/kensei/2007/12/mail12-03/k-12-03_01.asx
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