求められる消費者自身の判断
今年は食の安全が根底から揺さぶられた1年であった。食品表示が、販売者の意向で簡単に変えられるという現実に、多くの消費者が怒りを覚えていることだろう。一方、根底には食品表示やブランドへの過信があったのではなかろうか。
表示内容が鵜呑みにできないことはハッキリしたし、値段が高いから、あるいは老舗だからということは食の安全にとって何の担保にもならなかった。
役所が食の安全を守れるかというと、船場吉兆の例などでも分かる通り、内部からの告発でもない限り無理な話である。
結局は消費者自身が、自分の目、鼻、舌が培った経験を最大限生かして、摂取してはいけないものを見分けるしかないのである。
同時に、おかしいと思ったら、躊躇することなく販売者や、役所に情報を与えることも大切だ。
本社取材班は、試みに、福岡市における、食品に関する苦情や情報提供について、市側の対応も含めて、過去3年間分の記録を情報公開請求した。
食欲がなくなるような事例も散見されるのだが、いくつかの問題点を見出すことができる。
年末年始、エンゲル係数が上がるこの時期にこそ「身近な食」について考えてみるべきであろう。
苦情や情報提供はいくつかの事例に大別できる。
・異物混入
・表示不備
・食材の腐敗等
・衛生問題
などである。
船場吉兆などで行われていた、故意に食品表示を偽装したケースは今回の文書には含まれていない。ただし、今回の事例のなかには、食を提供する側の倫理観を疑いたくなるものもあった。
また、役所側の対応にも限界があることを思い知らされるのだが、なぜ公表しないのかという疑問も残った。(この点については、提言も含め後述する)
明日から、代表的な事例を挙げて、検証を進めてみたい。
つづく
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