次世代を担う“青年部” 人材・単価問題は続く
もうひとつ、大きな問題となっているのが、若年層の離職・入職不足で、大半の組合員企業には新人入職者がいない状況である。少子高齢化に加え、労働に見合う対価が払えない状況が、人材育成・雇用に多大な影響を与えている。見合った対価(給与)の支払が可能ならば、人材確保、延いては人材育成もできよう。
そのためには、再三言うが、「適正単価」での発注をゼネコンに要請していくことである。適正単価で受注し、健全な経営を行なうことが、この業界を活性化し、技術をもった職人育成につながる、ということを再認識した。この適正単価に、より近づけていくためには、福友会内での情報交換を活発に行ない、値崩れが起きないようにしていくべきであろう。
ゼネコンへの適正単価要請については、各企業それぞれが努力している。ある企業では、ゼネコンに対して「5年後、10年後を見てほしい。立派な建物を残してみせます。そのためには3,500円の単価が必要なのです」と要請しているという。
続いて、福友会青年部部長・高崎正大氏((株)高崎組)から、会員へ行なったアンケートの結果が発表された。
○ 今年の工事量について
「多い」、「普通」が大半を占めた。見通しについては、「少なくなる」が最も多かった。
○ 労務状況(職人)について
「適正であった」が8割を占めた。見通しについては、「過剰気味となる」と答えた企業が増えた。
○ 単価について
今年は上昇してきたが、今後は、下落傾向になると見ている。
○ 新入社員について
今年は「まったく入職してない」が9割。見通しについても「現状と変わらない」が多数を占めた。
○ 職人の平均年齢は
30代40代が多く、10代20代の職人は少ない。
以上のよう報告がなされ、業界の抱える問題を反映する結果となった。
引き続き、青年部内からの意見交換が行なわれ、型枠業界の次世代を担う若手経営者や後継者が、進んで意見を述べた。ここでは、「職人が余り、資材(合板)などが一時期に比べて値段が下がったことから、見積段階で単価が落とされている」という共通した課題があがった。これについては、会員内での連絡網を有効に利用して単価下落を防ぐことを要望していた。
先輩たちへ“経営学”を尋ねる場面もあり、アドバイスとして「技術は見て、聞いて学ぶ。経営は十人十色である」といった意見や、「今後を担う青年部の時代は、いっそう大変になる。だが、それが業界環境であり、各人が努力して切り開いていくしかない」といったコメントがあるなど、青年部への期待と応援エールを送っていた。
松本会長の熱い信念
福友会には一体感があり、現状を打破していこうとする企業が集まっている。
福友会の松本直喜会長は「我々、福友会は、型枠業界の未来を良い方向へと変化させていく活動をしていきたい。人材育成をするには、健全な経営でなければならない。しかし、現状の単価では厳しいと言わざるを得ない。社員や職人たちの家族を幸せにするためにも、私たちが一生懸命にゼネコンや一般の方々に型枠業界の現状を伝えていかなければならない。
近年、こうした現状を理解してくれるゼネコンも増え、随分と改善されてきたものの、まだまだ胸を張れる状況には至っていない。日本の建築レベルを維持し、向上させていくのは、型枠業界をはじめ専門工事業者である。建築レベルを下げないために、一刻も早く、ゼネコンが私たちの現状を親身に受け止め、業界環境が改善されることを願っています」と熱く語った。
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