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特別取材

進展する福岡東部開発 大魚を逃した積水(2)
特別取材
2007年12月28日 09:55

新宮よりアイランドシティを選んだ積水

 新宮町の役場側で、西鉄の新宮駅側にあるNTT団地とそのグラウンドなどの広大な土地が開発され、売りに出されることとなった。

 その候補の一番手として名前があがったのが積水ハウスで、当時は同社が落としたとの噂が持ちきりになり、関係者も「大型開発が決まったので忙しくなる」と鼻息も荒かった。

 積水ハウスは、同団地の開発を一手に引き受けることで、福岡東部地区の拠点のひとつと考えていたようで、協力会社にもこの開発の成功を話していた。ところが、一転して同社は事業から引くこととなった。

 その理由は色々と囁かれているが、ひとつは松林の処理で開発許可がなかなか下りなかったことなどがあげられる。

 しかし、それだけで同社が簡単に引っ込むわけがない。大きな障害となったのが、地域住民などとの折衝。同開発に伴い問題となるのは、JRの新駅が開設され、その駅周辺が大規模に開発されること。そのために、簿価が安いNTT団地跡地の売却価格に非常に神経質になっていたようだ。

 その売却価格について、積水ハウスは思い切った低価格も考えていたようで、そのようなことが周辺の反対になったようだ。そうした水面下での反対運動や、開発許可がなかなか下りないことに苛立ちを覚えていた同社に舞い込んできたのが「アイランドシティ」だ。

 ここも、当初の予定より安く買え、しかも開発でのトラブルはまずない。計画通り進むうえ、新宮より都心部にあることから、こちらへと傾き、結果的にNTT団地跡地を流してアイランドシティに特化することとなった。

 同社の規模から言えば、両方の事業を推進しても問題はないと思うが、大型プロジェクトを2つ抱えること、しかも同じ福岡東部地区ということが、新宮を諦める原因となり、アイランドシティに一本化されていった。


臍を噛む積水ハウス?

 ところが皮肉なことに、積水ハウスが同事業から撤退した後に新宮の開発許可が下り、同事業は計画通りに進むこととなった。

 それが、新宮町のNTT跡地である「ウェリスパーク新宮杜の宮」で、10月20日には街びらきが行なわれ、同事業には4社の住宅メーカー(大和ハウス・住友林業・トヨタホーム・西日本鉄道)が参加し、「今が美しい、そして100年後も美しい」をテーマに、それぞれの技術を活かした街の環境創造を行なっていくこととなっている。

 同地は、西鉄新宮駅より徒歩2分のNTT新宮無線送信所跡地および運動グラウンド敷地を利用した、総開発面積20万8,890平方メートル、495区画の戸建て住宅を供給する大規模戸建て事業であり、2010年の春には近隣にJRの新駅も開業する予定となっている。「ウェリスパーク新宮杜の宮」は、発売当初から人気が集中し、即日完売物件も出るなど、話題を集めた。

 販売価格が安かったことと、利便性に優れている点などが理由だが、ハウスメーカーの大和ハウス工業、西日本鉄道、住友林業、トヨタホームの各社は非常に鼻息が荒いところ(今回の分譲に西鉄は参加せず)。
 この強調の影で臍をかんでいるのが積水ハウス。と言うのも、もともとこの開発事業を手中に収めていたのが積水ハウスだからで、その経緯については先に述べたとおりだ。

 「ウェリスパーク新宮杜の宮」は今後の予定として、08年1月中旬から37棟の建売販売を行なう。現在は、建売住宅用の建築を行なっているが、詳しい日程は今のところ未定となっており、5月頃からは第3期の分譲も計画されている。

 2期以降も、人気が期待される「ウェリスパーク新宮杜の宮」だが、同団地が売れれば売れるほど、積水ハウスは苦虫を潰すこととなる。

 しかも皮肉なことに、現在積水ハウスは事業用地確保のため土地を物色中と聞かれ、新宮を手放さなかったら、そうした問題もなかっただけに、好調な売れ行きに臍を噛むこととなった。その影には、同社の派閥争いも絡んでいたという話もあるが、積水ハウスが大きな魚を逃したことは間違いない。


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