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積水ハウスの興亡史 (21) 子会社の設立(施工品質の向上と周辺事業) | 愛する積水シリーズ
特別取材
2007年12月19日 10:09

 建物は基礎が最も大事であるというのが、田鍋の考え方であった。当初は建物の基礎、建て方、内装工事まで下請けの工事店任せであった。しかし、工事店により、作業者の質、工法等にバラつきがあり、クレームが多発することが多かった。

 田鍋は基礎工事重視の立場から、基礎、鉄骨の建て方を専門にする子会社、積和建設を全国の拠点事業所のあるところに設立することにした。施工研究所で研究の進んでいた、基礎の一体打ち工法を普及させ、基礎の品質の向上、安定を図ることを目的とした。積和建設になり、基礎、建て方の機械化への設備投資も大いに進み、積水ハウスが唱えている「責任施工」体制が万全のものになった。

 1970年代、80年代と高度成長期に入り、都市への人口集中が著しく進み、住宅を手に入れるのは、土地価格の高騰、建築資材の高騰とで、高い、狭い、遠い、といわれるほど困難になっていた。

 そんな中で、民間のアパートの需要には根強いものがあった。土地の有効利用、資産活用を検討する層があり、アパートの受注も増えてきていた。ところが施主にはアパート経営のノウハウがあるわけでもなく、入居者探し、空室募集、敷金の管理、家賃集め、などを専門の業者に任せるのが実情だった。積水ハウスが入居者を保証し、アパートの管理に責任を持つことにすれば、アパート経営の全般を積水ハウスにお任せくださいと提案できる。

また一方で、新築住宅は欲しいが、現在、住んでいる家を売却した上で、というニーズが増えてきた。これを他人に任せるより、当社で解決すことが、販促につながる。より適切に対応できる。ということで、積和不動産を東北、東京、名古屋、大阪、広島、九州に設立したのである。今日では、本業の住宅部門が低迷する中、着実に数字を伸ばしている積和不動産が大きく寄与している。

 田鍋の先見の明がここにも現れているのである。(文中敬称略)


野口孫子

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