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積水ハウスの興亡史 (28) 企業の興亡は経営者で決まる | 愛する積水シリーズ
特別取材
2008年1月 7日 16:37

 日本経済も年明け早々、(昨年半ばから、サブプライムローンで揺れてはいたが)原油の先物価格が1バレル、100ドルをつけ、東京株式も大幅安の暴落、墜落するかのような揺れ方だった。今年は益々時代の変革が激しいことを象徴するような出来事だった。

 こういう時代だからこそ、改革が必要なのだ。変化の時代における企業の競争力はトップ経営者の能力に依存するといっても過言ではない。ほとんどの企業は人員削減、賃金カット、発注単価の引き下げなど、従業員、下請けに多大の犠牲を払わせた。そんな中でも改革に指導力を発揮し、成功した経営者を上げると、まずはトヨタの奥田会長。欧州、中国への工場投資、ハイブリッド車の販売などスピードある決断、圧倒的な利益を上げる企業に変身させた。松下の中村会長は事業部制の廃止、子会社の統合でV字型に回復させ、キャノンの御手洗会長は、知的財産への集中投資で超高収益企業に変身させた。60兆円を越える輸出総額のうち、30%をトヨタ、松下、ホンダ、キャノン、など10社で稼ぎ出しているのである。

 最大の敵は時代の変革に対応できる改革を阻む社内勢力、経営陣だ。危機意識のなさ、成功体験への固執、成長期の、昔仕様の人事評価制度などだ。社長の言うがまま、経営者の指導力がはっきり見えない。

経営者の不作為が原因として考えられる、積水ハウスの幹部にも当てはまるのではないだろうか。力量不足の社長、経営者ほど従業員のモラール(士気)を低下させるものはない。日本の社長は人事権など強大な権力を持っている。そのため、良識ある役員も正論を言えない、敢えてリスクは背負いたくないのが本音だろう。益々社長の権限が強大になる。それが、積水ハウスの実態であろう(どこの会社も同じ実態なのかもしれない)。

 ならば、強大な実権、自由度を生かして、企業を変革する責任は社長にある。ローマ帝国の軍団の格言「兵士は有能な指揮官を持つ権利がある」言い換えれば「従業員は有能な社長を持つ権利がある」といえる。社長は権限と責任の重さを自覚し、企業の競争力強化に全力を注がねばならない。少なくとも、田鍋は幾多の困難にも、全力で乗り越えてきた。社員も一丸になっていた。 朝鮮窒素以来のチャレンジ精神は積水ハウスにも脈々と語り継がれ、生きているはず。

しかし、現、和田社長にも当然あるのだろうが、それが伝わってこない。大和ハウスに追い越されても、社員からも、なにくそ!という気概が読み取れないのである。取り巻きから、都合のよい情報だけで、悪い情報が上がってないのではないだろうか。 さらに、後継者の育成に努め、交代のルールを整備し、自らの進退を誤らないようにすべきだ。このことは、企業の持続的発展のため、社長が怠ってはならない義務である。この激しい変化の時代、企業の興亡は社長によって左右されるのである。(文中敬称略)


野口孫子


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