福津市が公費で区長の観光旅行を繰り返していた問題は、多くの福津市民から批判が出ている。
それにしても福津市役所は平気で嘘をつく。先週ご紹介したように、市役所側が「無い」と断言した温泉旅行の「行程表」が存在していたことには、言い訳もできないだろう。
さらに、観光旅行が何のために行われていたかについても、およそ信じられない説明をいただいていた。
本社取材班が、区長研修は何のために行われているのか聞いたところ、担当職員は「区長のスキルアップを図るため」と言い切った。
スキルとは日本語にすれば「技能」ではないか。とすると、区長のスキルとは何なのだろう。
念のため、無いはずの「行程表」に記載されていた内容にしたがって、池田湖や知覧武家屋敷、霧島温泉などに行って、どうやってスキルアップにつながるのか聞いてみた。
もちろん満足な答えが帰ってくるはずはない。
直前まで「行程表」は存在しないと断言していたのだから・・・。
そもそも観光旅行に行って、スキルアップなどと言う方の神経がおかしい。
区長のスキルとは何か、福津市はもう一度考え直すべきである。同時に、流行の横文字さえ並べておけば、誤魔化すことができると思っていたのなら、大間違いであることも肝に銘じるべきだろう。
福岡市の町世話人(福津市の区長に当たる)経験者から話を聞いた。
「福岡市は町世話人を廃止しました。確かに、いつまでも自治の現場(町内会)が行政の下請けをやっていたら本当の自治は育たないでしょう。福岡市の方向性は間違っていなかったと思います。突然の廃止で混乱はありましたけど・・・。
ただ、本当のボランティアで行政の配布物や、事業の周知をやるのは本当に難しい時代になっています。何より「担い手」が育たないし、地域によってかなりの格差があります。
マンションが多い地域は、特に自治が機能しなくなっているんです。
でも、自治とは自分たちの地域のことは自分たちで決め、運営していくということでしょう。役所頼みでは、自治は育たない。ましてや役所との馴れ合いが続いていれば、住民自治は育たない。役所と地域は対等ですよ。ご馳走してもらったり、旅行に連れていってもらっていれば、住民代表というより、役所の伝達機関にしかならない。スキル?そんなものは住民第一でやっていれば自然と身につくし、一番大切なことは滅私奉公ですよ。
観光でそんなものが磨かれるはずはないでしょう。住民1人1人にご意見を聞いて回ったほうがよほどスキルアップにつながるんではないですか?」
もちろん、報道された「観光旅行」に対しても「この時代に、よくそんなことがまかり通りますね」と驚いていた。
確かに、行政区長に求められるものは、住民と役所の本当のパイプ役であり、地域住民をまとめると同時に、地域の声を行政に生かす努力をすることだろう。
それが、公費で接待を受けていれば、言うべき事も言えなくなるだろう。
多くの福津市民は、公費による「区長の観光旅行」の実態について、知らなかったのではないだろうか。その証拠に、「けしからん」という市民の声ばかりである。
それでは、市民の代表として、そうした無駄な税金の使い道をチェックするはずの「議会」は何をやっていたのだろう?
つづく
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