少し前まで、犬が人間の7倍の速さで歳をとることからから情報革命(IT)の変化の速さを表したドッグイヤーという言葉が流行した。さらに、最近はマウスイヤーということが言われるようになってきた。この時代の速さに、「遅れをとるな!」と熱弁を振るう経営者も多かった。そんなに急いでどこに行く、という人もいるだろう。速度が遅いと、タートルイヤーと侮られる。亀の戦略を頭の片隅に入れながら、新年早々、大東建託のアメリカファンドグループから9,000億円で買収のニュースが飛び込んできた。この時代、何が起こるかわからない。そんな感のするニュースだった。
積水ハウスも、株価が低迷する中、いつTOBかけられてもおかしくはない。そのためには、経営者は企業価値を上げる努力を日常的にしなければならない責務がある。
また、地球温暖化が言われているが、この100年で世界の平均気温は0,74度上昇している。人間の体温が1度上がれば、寝込んでしまう。今の地球は発熱して、病んでいる惑星になりつつあるのだ。
九州では2003年(平成15年)以降、水稲の作柄の品質の低下が続いていると言われている。稲穂の出た後の気温が高すぎるため実りが悪いと言うことらしい。日本の気候は一年に5キロ、北へ移動しているといわれている。2060年頃には、関東の温州みかんの産地も日本海側へ青森、長野のりんごも北海道へ移るといわれている。
さらに、サブプライムローンに発端に、株価の低落、石油マネー、中国を中心とした新興国マネーが、石油、金、その他資源への投機に走り、ガソリン、食品、金、原材料が値上がりし、企業は経済の激しい変化に対応しながら、なおかつ、温暖化対策にも対応せねばならない状況下にある。
そんな中でも、政府、日銀も概ね景気は回復基調にある、という考えを変えていない。出来るだけ早く、公定歩合、金利を上げたいと思っている。しかし、食料品、原材料等が値上がり、インフレになりつつもあり、舵取りが難しくなっている。今までの成功体験はまったく通用しない情勢になっているのである。
積水ハウスの経営も同様だろう。しかし悲観ばかりではいけない。「一寸先は光」という言葉もある。何があっても希望を持ち歩んでいきたいものだ。(文中敬称略)
野口孫子
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