突然、新聞に社長人事が掲載されたため、現在に話が飛ぶ。1月18日、和田社長が会長兼最高執行経営責任者(CEO)に昇格、現・取締役専務、東京営業本部長の安部を社長兼最高経営責任者に昇格と日経新聞、毎日新聞に掲載された。株主総会が4月末だから、会社側からの正式発表ではないだろうが、ほぼ間違いないだろう。安部氏は56歳、13人いる取締役のうち、最年少である。一気に若返りを図るのだろう。
阿部氏は昭和50年(1975)入社、仙台支店の営業マンとして、全国の営業マンの中で、山口支店にいた田中(テレビ番組「ガイアの夜明け」でトップセールスマンとして紹介された。すでに退職) と1位、2位を争うトップセールスマンの輝かしい実績を残している。安部は仙台支店長、東京営業本部長と営業畑だけを歩き、トントン拍子に出世をしてきた。その点では和田と似ている。
積水ハウスの伝統だろうか、田鍋も奥井も、やはり今回の和田も、後継者の育成をやっていなかった。安部が社長としての素養があるのかどうかは、やって見ないとわからないのが実情だろう。
営業しか知らない社長はバランスを欠き、どうしても営業に偏った人事を行ない、社内の空気は全社一丸という雰囲気にはなりにくいものだ。社長とは営業の数字だけでなく、総務、人事、財務、経理、技術開発、資材、工場など全般に通じてなくてはならない。
今回初めて、積水ハウスはCEO,COO制度を導入した。その意図はまだわからないが、今までの通例では、会長に退いたら、社長に現業を任せるのが当然であったが、情報では、和田会長CEOがマンション事業、不動産事業を担当するとのこと。安部社長COOが本業である住宅事業、即ち工場出荷材による住宅、戸建住宅、賃貸アパート事業を担当するという事のようだ。
積水ハウスの現状の売り上げの50%は本業以外のマンション、不動産が占めるまでになっている。新任の安部に負担が重いという親心で、本業部門だけを安部にやってもらうことにしたのか、または、この2~3年、東京の御殿山、ソニー跡地と超大型プロジェクトが控えて、ある程度の数字が見込める大型開発事業など、なおも現業を手離さずに、和田が担当すると言うことは、院政をしくためなのか、今はその真意のほどはわからない。
いずれにしろ、新体制がスタートしたら、意図がはっきりすることだろう。新安部社長の健闘を期待したい。(文中敬称略)
野口孫子
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