地域貢献型の元気な大学めざし 「前へ進む学校経営」を実践
For all the studentsを合言葉に
「小さいけれど勢いのある大学」として、九州のみならず全国から注目を集めている大学がある。福岡市東区の福岡工業大学だ。「情報」「環境」「ものづくり」の3つのフィールド(工学部、情報工学部、社会環境学部[文系])で人材を育成。大学院、短期大学部も擁し、附属の城東高校も文武両面での躍進めざましい。少子化の中、厳しい経営環境に晒される大学もある中で、ここは「元気さ」が目立つ。
教員、職員が共通して持つ理念が「For all the students」(すべての学生・生徒のために)。
学生一人ひとりへの、個性、希望を大切にした親身な指導は、高い就職率にも表れている。ここ数年は活況な新卒就職状況だが、それ以前の「就職氷河期」といわれた時代にあっても、男子のみならず女子を含めた高い就職率が大きな特色として注目されてきた。
“二十一世紀の産業界で活躍する基礎となる先端科学技術分野―電子、生命環境科学、知能機械、電気、情報、ネットワークコンピューター応用―や今世紀の最重要課題である社会環境に関する文系の学問の教育、研究体制”を整え、「地域貢献型の大学」をコンセプトに、人材供給、そして、地域企業との共同研究などに取り組んできた。
2000年には九州の私学では初となる「実用化技術研究所(現・産学連携推進室)を開設。共同研究の推進とともに、中小企業との情報交換を行うFITテクノクラブなど、様々な形で実を結びつつある。
また06年度、世界水準の教育プログラムである「JABEE」(日本技術者教育認定機構)認定審査において、知能機械工学科・情報システム工学科の2学科が同時に認定された。この認定は、大学の教育内容・水準が国際社会の要求基準を満たしているとみなされ、課程修了者は国際技術士補の資格が与えられる。
マスタープランに基づく大学経営
こうした活発さの基盤になっているのが、学校経営の指針となるマスタープラン(MP)だ。「98年から理事長の諮問による、経営目標・戦略など五年間の中期経営計画(MP)を策定し、全教職員が一丸となって推進してきた」(大谷氏)。予算の実施なども、すべてこのMPによって進めてきた。「理事長や私を含め、職員の中に民間企業出身者が多いのもこの大学の特色。MPをもとにした経営計画は民間企業では当たり前ですが、大学ではあまり重視されてこなかった。教員の方にも、経営側や事務局と共通の認識を持ってもらい、一緒にやっていくことを重視しています」(大谷氏)
こうした経営が評価され、日本私立学校振興・共済事業団の「平成18年度 文部科学省受託研究 大学経営強化調査研究」の事例集にとりあげられ、調査した委員の所感として「目標管理サイクルが確実に実行されている数少ない好事例」との評価を受けた。同調査のシンポジウムでは、3校しかない報告校にも選ばれた。
「元気な福岡の未来」に貢献する「元気な大学」である。
[プロフィール]
大谷 忠彦(おおたに ただひこ)
福岡工業大学常務理事・事務局長
福岡ダイエーホークス取締役編成管理部長などを経て、平成8年福岡工業大学就任。
福岡工業大学
理事長:鵜木洋二
学長:山藤 馨
住所:福岡市東区和白東3-30-1
電話:092-606-0607(広報課)
HP:http://fit.jp
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