先週福津市が、予算陳情に訪問した国土交通省の官僚に、瓶詰めのうに(1箱4,000円程度)を土産として持参していた問題は、官官接待を禁じる今日の時代状況を甘く見ていたとしか言いようがない。
地方分権の推進が国民の常識になりつつある中で、中央官僚に「儀礼」と称して土産物を届けて、予算措置や事業推進をお願いする姿勢は、決してほめられたことではない。
ところで、福津市は先述したとおり、平成18年11月と平成19年3月に、国土交通省や都市再生機構(UR)に対し陳情におもむいていたのだが、紹介した起案文書は平成18年のものしか存在しない。19年3月のうに購入については、急な出張で起案する時間がなかったとのことで、こうした場合は市長の判断・指示で支出がなされるというのである。
つまり福津市の市長交際費に関する公文書からは、何の目的で、どんな必要性があって公金支出がなされたのか、きちんとした説明がつかないということになる。
人事院に確認したところ、利害関係を有するものから、金品を受け取ってはならないとのことであったが、この場合、金額の多寡は関係ないとされていることも確認させてもらった。
福津市側が、国土交通省に何を頼んだか、そしてその結果、予算等でどのような恩恵がもたらされたのか、現在詳細を調査中であるが判明分については以下の通りである。
平成18年10月31日 福津市出発、新橋のホテル泊。
翌11月1日、国土交通省 土地・水資源局、土地政策課、住宅総合整備課、まちづくり推進課、住宅生産課の5箇所を訪問。1箱に塩うにとアルコールうにの瓶詰めが1本づつ入った「土産」(4,305円)を訪問先課長などに手交したとしている。
11月2日には、横浜桜木町の都市再生機構(UR)を訪問しているが、こちらには市長交際費による土産についての記載はない。
平成19年3月19日は、国土交通省道路局企画課に行き、国道3号線に関する陳情を行い、土産のうに4箱を全て企画課に差し上げたのだという。(福津市役所秘書課の話) この時は前述のように、急な出張であったため、起案書を作成する時間もなかったと市長秘書氏は説明するが、うにの領収書の日付は、3月15日になっている。
出張命令日は3月16日となっており、急な出張との説明と起案文書不存在の事実に整合性はない。
いずれにしても、不透明、不適切な支出ではないだろうか。
それにしても、国土交通省への土産代と、堂々と記された市長交際費の支出明細を見ると、地方分権は掛け声だけかと疑いたくもなる。
さらに市長交際費について検証する。
つづく
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