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積水ハウスの興亡史 (43) 原点回帰 | 愛する積水シリーズ
特別取材
2008年1月29日 13:31

 積水ハウスも日本国家と同じで、日本国民であることを誇りに思うという人が増えているように、積水ハウス社員であることに誇りに思う人が増えているように思う。グローバリゼーションで日本が沈み込む危機感、積水ハウスが内向きの経営をやっている間に、大和ハウスに追い越された危機感の表れなのかも知れない。

 市場原理主義、グローバル化に踊らされ、日本経済がダメになり、初めて国民の皆が日本の良さを知った。「日本の歴史、伝統、文化」「自然」「国民性」を誇りに思っている人が増えている。日本的良さを見直そうという動きだろう。

 積水ハウスが30年もの間、業界をリードしてきたのを他社にその席を譲り渡してしまい、田鍋が唱えた「運命協同体」「自由闊達な社風」を回帰したい、見直そうという動きだ。積水ハウスは奥井会長、和田社長の新体制になったのは1998年のことだった。和田は積水ハウス創業以来、初めての生え抜きの社長となる。田鍋も奥井も積水化学出身であった。積水ハウスの21世紀に向かうにふさわしい人事であった。和田の経営方針は名古屋で培った、大きな政府を目指していた。権力を本社、社長に集中させた。手始めに、東京、名古屋、大阪、広島にあった地域密着の商品開発をしていた各設計部を解体、本社の商品開発部に新商品の開発、部品、デザインの開発を集中させた。

 田鍋、その路線を継承する奥井は現地に権限を委譲させながら、その責任の範囲で自由に事業を遂行させていた。各事業所は和田体制になり、一転、すべて本社の意向を打診しなければ事業を遂行できなくなったのである。

 田鍋はお客に一番近い事業所がお客のニーズをいち早く捕まえられるということで現地の意向を尊重してきた。和田は営業の第一線の経験があるため自信があったのだろう、自分がすべてをコントロールすることを選択した。

そんな風潮の中、積水ハウスが長年はぐくんできた文化、伝統、自由な発想の時代を懐かしくも、誇りに思うようになってくる。積水ハウスを愛せよというより、田鍋時代のように、積水ハウスに誇りを持つようになるべきだ。積水ハウスへの誇りと自信がなければ、何もかもうまくいかない。運命協同体、人間愛、を捨てて、権力、権威主義、大きな政府に走ったのも、業界第2位に甘んじるのも、誇りなき積水ハウスの必然なのだろう。(文中敬称略)


野口孫子



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