高木石油に入社
大学を卒業した72年4月、高木氏は高木石油に入社することになる。いくら家業とはいえ、現場からの出発である。配属されたのは上長尾給油所である。上長尾は対馬小路に次ぐ高木石油の2号店である。
60年代後半は「高度経済成長」の真っ只中であり、石油は飛ぶように売れた。石油は、薄利ではあるが必ず消える商品。売れた分だけ収益が残る時期でもあった。とはいえ、ガソリンだけでは利幅が薄いので、今で言うトータル・カー・ケアを始めた。
70年には自動車が4家族に1台の割り合いで持たれるようになり、スタンドにお客さんがやってくるようになった。とはいえ、お客さんを待っているだけでは、収益が増えていくわけではない。駐車場のある郊外のレストランやスーパーに人々はマイカーに乗って訪れ、旅行に出かけるマイカー時代がやってきた。このことは同時に業界も競争の時代に突入していくことでもあった。
車のメンテナンスを充実させることでお客さんを呼び込み、お得意さんにしていかねばならない。福岡では比較的に早い時期に整備士を常駐させてガソリン以外で収益をあげていくことにした。洗車や車検整備などにも力をいれ、お客さんへの行き届いたサービスと技能を必要とする人材の必要性を痛感する日々の現場であった。サービスレベルを向上させるための人材教育の内容やノウハウ、これが現在の高木氏の事業に役立つとともに、氏の原点のひとつにもなっていることは言うまでもない。
入社当時の従業員は10名ぐらい。給油所は3店舗。これが高木氏の事業家として発展を遂げていく出発点であった。
[プロフィール]
高木 教光 (タカキ キョウコウ)
NPO法人 キャリア教育サポート 専務理事
九州産業大学 非常勤講師
1951年 福岡市博多区生まれ
1972年 九州産業大学 産業経営学部 卒業
NPO法人キャリア教育サポートを設立 地場企業の経営者と教育界の方々との連携を行い、青少年の健全育成と地場企業への就職支援事業、教育事業やイベントを開催 福岡地区の大学生の自立と 起業支援事業を行う。
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