環境問題への対応は日本だけに限られたものではない。ましてや、電力業界の中だけでとどまるものでもない。
欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は1月23日、2020年までに90年対比20%の温室効果ガス削減を図るため具体的方策となる「再生可能エネルギー・気候変動パッケージ」を公表した。欧州排出量取引制度(EU―ETS)を強化し、域内の対象企業の排出枠は20年までに、05年の排出実績から21%引き下げられる。これまで無償で割り当てられていた発電所の排出枠は、13年以降全量オークション方式に移行すると提案した。また20年までにエネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を20%にする実行案を提示。化石燃料発電所への二酸化炭素回収・貯留設備(CCS)の配備の義務化は見送られた。各国とも、CO2削減策を加速し、強化していく体制を撮り始めている。
日本でも、経済産業省・資源エネルギー庁が、新エネルギーの導入を加速するため、グリーン電力証書など利用面の拡大をてこ入れする方針だ。同証書の費用化など企業が新エネを買いやすい状況をつくり、技術開発、補助金と合わせて抜本的な新エネ強化策につなげる。2月以降に有識者や業界団体による小委員会を設置し、議論に着手。今夏にも報告書をまとめ、09年度概算要求などに反映する。今夏の北海道洞爺湖サミットでも日本の新エネ普及策として各国にアピールする考えだ。
こうした環境優先の政策に電力会社も呼応していく必要に迫られているのだ。
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