福岡市発注工事 予定価格が間違いなのか、ゼネコンの無茶か?
昨年3月福岡市下水道局発注の「比恵9号幹線築造工事」入札で、約42億円の予定価格が22億円という半分の金額で落札されていた。
さらにさかのぼる2月には、予定価格約38億の同局発注工事「比恵13号幹線外築造工事」でも、22億で落札されている。
福岡市は積算に間違いはないというし、それぞれの共同企業体(JV)の頭である錢高組、清水建設ともに、赤字にはならないという。
実は、2月の「諸岡第5雨水幹線築造工事」では、1,550,411,100円の予定価格を設定しながら、「錢高・福田・九建建設共同企業体」が1,085,287,770円で契約していた。落札率は最低落札価格、つまり70%ちょうどである。
この入札は8共同企業体が入札に参加、うち4企業体が70%の最低落札価格で応札、「抽選」で錢高組を中心とするJVが契約に至ったとされる。
先述したように、24億1千万円以上の公共事業には最低入札価格は設定されないが、「諸岡第5」は、それ以下の工事金額であったため、70%の規定が適用される。
つまり予定価格の70%より低い金額で応札した場合、失格となるのである。
錢高・福田連合軍は「諸岡第5」「比恵9号」の2件で、25億円もの工事費(税金)を削減してくれたことになる。
それでも赤字にならないと言い切ることができるとは、すばらしい会社ではある。
とすると、他社も同様の企業努力によって、落札価格を大幅に低くすることができるのではないだろうか。ぜひそのすばらしいノウハウを広めていただきたい。
さて、ゼネコン側に問題がないとすれば、福岡市発注工事の予定価格は本当に適正なのかという問題に行き着かざるを得ない。
実は、この1年を確認しただけでも、一般土木やPCといった工事の入札では、70%での落札が数多くみられるのである。
大手ゼネコンは、「赤字にはならない」というが、中・小零細の地場下請け業者は、本当に大丈夫なのだろうか?
工事の手抜きや偽装を招来することはないのか?
予定価格と落札額のあまりの差に、余計な心配をしてしまうのは、取材班だけなのだろうか。
「建設業界は、ある程度淘汰される。仕方ないことかもしれない」とする業界関係者は多い。しかし、体力にものをいわせての常識はずれの応札をしていれば、業界全体の健全な発展はない。弱い企業はつぶれろと言わんばかりの仕事の奪い合いは、少なくともこの福岡市では許すべきではない。
福岡市では、地場企業の育成を謳いながら、長年、東京や大阪の大手ゼネコンばかりが巨額な利益を上げ続けてきた。
破綻した博多リバレインも、A級戦犯「都市未来ふくおか」の大株主企業であるはずの大手ゼネコンだけは、巨額の建設工事を受注していたではないか。
行政側も何らかの新たな手を打つべきではないだろうか。
51%の落札率は、それだけでニュースになる一大事である。いま少し、この入札について検証してみたい。
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