現在の運輸業界に最大の影響を及ぼしているのが、原油価格の高騰である。そのことについて問うと、「影響は大きく出ている。高速船にジェットボイルを導入した時点から、油代は3倍になった。燃料代だけで経費の33%程度を占めている。お客様にすべて負担してもらうわけにはいかないが、急激に原油高になったため、やむなく一昨年から『燃油特別付加運賃』をいただいている。原油高については一番の悩みのたねだ」と、丸山社長は語った。
高速船は1リッターで30メートルしか走らず、整備代や安全性にもコストがかかる。「この仕事は、高速船が本当に好きでないと誰もやらないだろう」と、好きだからこそ続けていられるのだと語る。
省エネ化する方策は無いのだろうか。「日本のメーカーは皆、省エネ願望がある。ただ難点は、高速船は96年以来、新造船がないので、技術革新が進んでいない。ゆえに、省エネ化することにトライできるメーカーがないのが現状。高速船はもともと軍用機で、省エネを考えずに造ったという経緯がある。
今みたいな原油高になるのが予測できていたら、もっと省エネ化した新しいエンジンをすでに造っているだろう。今の船は、船としては最大限に省エネ化したものだから、我々だけでは手に負えない部分がある」と、省エネ化はメーカーの協力なしには難しい状況であると語った。
つづく
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