福津市による公金の使い道について報じてきたが、福津市民も含め、地方自治体の税金の使い方が改めて問い直されているのではないだろうか。
時あたかも国会では、道路特定財源となっているガソリンの暫定税率を巡って、緊迫した状況が続いている。
民主党は暫定税率をやめ必要な道路建設は一般財源化すべき、とするが、自民党や一部の地方自治体は「道路が作れなくなる」の一点張り。論戦自体がかみ合わない。
ガソリンの暫定税率をなくせば、本当に道路が作れなくなるのか?他に財源はないのか?そもそも、「必要な道路建設」とは、どのくらい残っているのか?
そうした基本的な情報が、充分国民に知らされているとは思えない。
地方自治体や議員は、「道路、道路」の大合唱だが、福津市の問題や、政務調査費の使途など、デタラメな公費支出をみるにつけ、本当に財源は捻出できないないのか、はなはだ疑問に感じる。国民は、高沸したガソリン代に家計を圧迫されている。出を削っての必死の努力を続ける家庭も多い。
自治体は本当に「必死の努力」を続けているのかというと、決してそうではあるまい。
福津市のように、予算陳情のためと称し、相変わらず中央官庁にお土産を持参して「お願い」しているようでは、地方分権など程遠いだろう。
また、区長の温泉旅行を「研修」と称して全額公費負担で大盤振る舞いしたり、地元との協議に寿司盛り・飲酒を繰り返すなど、不適切としか言いようのない支出が公然と繰り返される実態には、チェック役であるはずの議会の機能不全を指摘せざるを得ない。
福津市の場合、そうした実相が、本社取材班の調査・取材で浮かび上がってはいるが、実は、まだまだ報じなければならないことが残っている。
国に限らず、地方自治体の中には、まだまだ無駄な予算の執行があるという現実も、直視しなければならない。
全国で行われている自治体発注の公共事業については、本当に適正な工事価格を提示しているのか。つまり「コスト」自体、適正なのかと疑問を抱かざるを得ない事例も散見される。福岡市発注工事の落札率51%、42億の予定価格が22億で契約などという事実は、如実にそのことを物語っていよう。
まずは、国民に国や自治体の税金無駄遣いの実態を知らせねばなるまい。
その上で、道路建設はどこまで必要なのか、それぞれの自治体ごとに、市民が判断を下すべきではないだろうか。
人間の欲望は限りない。便利を選んで国を滅ぼすか、現状に満足して未来に光を見出すか、その選択をするのは、政治家でも役人でもない、私たち一人ひとりの市民であることを自覚したい。
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