それにしても福岡県庁が、博多海砂採取協業組合(昨年3月までは「協同組合」)を、一所懸命に守り通す姿は、奇異にさえ感じる。
何をやっても処分されないどころか、事件発生のたびに、組合が不利にならないように、あるいは、以後マスコミから攻められることが無いように、逃げ道をきちんと用意してやる。もちろん、県庁側から「砂採取業者はけしからん」といった趣旨の言葉を聞いたことも無い。それどころか、採取組合をかばうための発言ばかりである。
もう一度整理するが、平成17年には、県が定めた「福岡県一般海域管理運用要綱」に掘削深1メートルと規定しながら、全く守られておらず、玄界灘の海底が凸凹になっていたことが判明。
そればかりか、福岡県が海砂の賦存量調査や、試掘の立会いを20年以上怠っていたことも明らかとなった。
掘削深を守らず操業を続けていたことは、明らかに要綱違反である。しかし、県は何の処分も発表していない。
さらに、県自らが平成14年から、海砂採取による影響についての委託調査を実施していたことや、その調査報告の中に、漁業や環境に重大な問題をもたらしていることを示唆する記述があることも報じられた。
平成18年には博多海砂採取協同組合が組合としての法的要件を備えていなかったことが報道されたが、この時も県は違法状態の組合に海砂採取を続けさせ、処分するどころか、操業を止めることさえしなかった。
この時も県庁内から、採取業者に対する厳しい声は全く聞くことがなかったし、むしろ操業が続けられるように庇う姿勢ばかりが指摘されていた。
今回の博多海砂採取協業組合による、筑前海区漁業調整委員に対する顧問料供与は、海砂採取の可否を左右することにつながる問題だけに、厳しい姿勢が要求されてしかるべきである。
しかし、県漁政課は「顧問になってはいけないという法律上の決まりはない」とか「漁調で海砂採取は駄目だと議論しても、あくまで参考意見であり、海砂採取の可否を決めるのは県だ」と信じられない見解を示す。
一方、海砂採取の許可を出す港湾課は、「漁調で海砂採取は駄目だという結論が出れば、やっぱり採取はできなくなるでしょう」とまともな答えが返ってきた。
当たり前である。筑前海区の漁調委員は10人。4人が県知事指名で、残り6人は公選法に基づく「選挙」で選ばれる。もちろん漁業者の代表である。
その方々の議論が、ただの「参考意見」で海砂採取の可否に影響を与えないはずがないだろう。
問題がなければ、マスコミが大騒ぎすることもないはずである。
県庁は、なぜ海砂採取業者をここまで守り通そうとするのか?隠された闇を予見させる海砂問題についてさらに検証を進めてみたい。