福岡県は「環境」を守る意思があるのか?
海砂採取は、福岡県一般海域管理条例及び福岡県一般海域管理条例施行規則に従い採取が認められる。
しかし、最も肝心なのは「福岡県一般海域管理運用要綱」(以下、要綱)であろう。条例や規則は県のホームページ上でも例規集の中から検索できる。しかし長らくこの「要綱」の存在は県民や多くの漁業者には、知らされることがなかった。
平成17年、本社をはじめ他のメディアでも海砂採取の掘削深問題と海底の環境悪化が報道され、その存在がクローズアップされた。
もちろん当時の「要綱」に従えば、博多海砂採取協同組合に対し、許可取り消し、原状回復、一定期間の採取不許可などの処分を下して当然であったが、県は処分どころか、業者擁護に走る。
その証拠に、許可基準を定めた「要綱」の第3条(3)は、
・「掘削深は、1メートル以内であること。」とされていたものが
・「掘削に当たっては、部分的に深堀りをしてはならないこと。」と変えられていた。
つまり、1箇所だけでなければ、何メートル掘ってもかまわないということである。
海底が凸凹になっている事実は、全く無視されたということだ。
しかも県は、現状の海砂採取方法からして、掘削深1メートルの規定自体が現状に合っていないのだという。
だから「要綱」を変えたとするのだが、決まりがある以上、それを守らなかった場合は決まりに従った処分を下さなければ、「要綱」そのものの存在意義がなくなる。
悪いことをしても、決まりごとのほうが現状に即していないからといって免罪していれば、悪人は野放しになるだろう。
さらに「要綱」は何箇所にも及ぶ変更がなされているのだが、大半が報道された海砂採取の問題点から採取業者、特に博多海砂採取協業組合(旧・協同組合)を守るためとしか思えないものばかりである。
例えば、第3条(7)では
・「土石採取を行おうとする者は、県内採取業者(福岡県内に主たる事務所を有する海砂の採取を目的として設立された中小企業等協同組合法に規定する事業協同組合をいう)であること。」としていたものを、
・「土石採取を行おうとする者は、県内採取業者(福岡県内に主たる事務所を有する海砂の採取を目的として設立された中小企業等共同組合法に基づく組合及び中小企業団体の組織に関する法律に基づく組合をいう)であること。」と変えられている。
この変更があったからこそ、博多海砂採取協同組合は協業組合に組織変更されることが可能になったのである。
もちろん平成18年に、博多海砂採取協同組合が、法律上、協同組合としての要件を満たしていないことが報道されたことを契機としている。
官・民癒着を連想させる「要綱」の変更と見られても仕方あるまい。
現実に、協同組合の要件を満たさぬまま、海砂採取を続けていたことが明白になりながら、県はそのインチキ組合の海砂採取を止めようともしなかったのである。
つづく