積水ハウス(株)の社長交代が発表された。
就任後10年を経た和田勇社長が、代表権のある会長(CEO)へ就任し、昨年からコア事業の落込みをカバーし史上最高益を更新してきた都市再開発事業を担当する。
一方、最年少取締役の阿部俊則氏(56)が代表取締役社長(COO)に就任し、コア事業の戸建住宅&低層集合住宅(アパート)部門を担当すると言う発表だ。
阿部新社長の力量発揮のためには、先ず和田前社長が専務時代から網の目の如く張り巡らした、各地区の営業本部長他の幹部職の刷新であろう。
セクハラや協力業者へのタカリ等、様々な内部告発が本社への通報だけに収まっているうちは良いが、昨年の『偽』に象徴されるような東証第一部上場の大企業を含めた諸々の偽装工作やコンプライアンス違反が社内に留まらず、一気にメディアや関連省庁への直訴型に変わった時が怖い。
昨年の社長の年頭所感には、今後の住宅産業が目指す啓蒙的な『サスティナブルタウン』や、福田首相が提唱した『200年住宅』構想の下敷きになる戦略等も種々籠められていた。ところが、今年の年頭所感がHPに掲載されないのを疑問に感じていたが、それは社長交代の伏線があったのであろう。
しかし、今後も業界活動を続けていくという発表ならば、新建築基準法施行を準備不足のまま強行した国交省の責任追及や、住宅建設に携る中小零細工務店までの配慮を求めるべきであったろう。
にもかかわらず、『200年住宅』構想は、既築住宅の10年毎の耐久性能確認やリフォーム工事等の記録を残せるのは、あたかも大手住宅メーカーのみだとしてテストランに入ると言うのだから『弱者排除』施策に他ならない。