福岡市発注工事入札で、42億が22億で、38億が22億で落札されていたというニュースについて、多くの市民から疑問の声をいただいた。
「余った税金はどうなるのか」という質問が多い。
次に「福岡市の予定価格は間違っているのか、それとも、もともとコスト意識がないのか、どちらか?」といったもの。
その他「まともな工事ができるのか?」「大手ゼネコンの中小つぶしではないか?」などなどである。
どれも素朴な質問だと感じる。
実は、入札の状況を確認すると、「比恵9号幹線築造工事」の場合、42億6千万円あまりの予定価格に対し、入札参加の8JVの内3JVが「辞退」、応札した5JV中4JVが20億円台となっていた。
どこが契約しても落札率は50%~60%台になる。
公共事業、特に土木関連予算が年々減少する中、少ないパイの奪い合いとはいえ、余りにそれが過熱した結果なのか、あるいは、市民の声にみられるように、自治体側の積算価格が高すぎるのか・・・。
市民感情からいけば、納得できないのは事実であろう。
ちなみに、余った形の工事費は、別の下水道局発注工事にまわすとしている。そうなると、局全 体の予算はかなり余裕ができたはずであるが、結果として、予算作成段階でかなりのマイナス要因になりはしないだろうか。
つまり、予算請求段階では予定価格で積み上げ、議会での議論を経て、国への予算要求が行われる。
昔から、役所の予算は使い切らなければ翌年度の査定に響く、減額されるといわれてきた。
予定価格とは何十億も違う契約が続けば、査定そのものに引っかかってしかるべきだろう。
福岡市が発注する工事である以上、市民生活に不可欠なものである。特に幹線築造工事は浸水対策上、重要な工事なのである。
福岡市政史上、最低の落札率とも考えられる51%の持つ意味は大きい。業界関係者からは「最近は少し落ち着いたが、それでも低い価格で落札するケースはまだまだ続いている」という声も聞こえる。
公共事業のコストは、安全や品質の確保のためには高いのが当然とされてきたし、自治体側も公然とそう答えてきた。
談合事件等を受けて誕生した改革派の首長の自治体では、軒並み公共事業費の落札率が下がる。
落札率が下がることで良しとするのではなく、工事の予定価格そのものと、積算方法について見直す必要があるのではないだろうか。
その上で、就業者が多い「建設業界」の健全な発展に向けて、何らかのアクションを起こすべきであろう。
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