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ベスト争奪戦は長期化の様相 株主総会が大きなヤマ場(2) | 東京レポート
特別取材
2008年2月 6日 10:19

40%ルール

 「40%ルール」。これは、40%以上の出資関係がないと、メーカーから共同仕入を求めてもらえないという商慣行である。価格競争を勝ち抜くには、共同一括仕入でコストを下げなければならない。この「40%ルール」のために、M&Aが連発されることになった。ヤマダがベストに40%以上の株取得を提案したのは、このルールに基づいている。
 だが、40%以上の出資には、「飲み込まれる」との抵抗感が強い。ベストがヤマダの提案に拒絶反応を示したのも、エディオンとビックの統合が破談になったのも、40%ルールが原因であった。

 07年2月、エディオンとビックは資本提携を発表した。ヤマダから提携提案を受けたビックは、エディオンと提携を結ぶことで買収防衛策としたのである。
 ビックの創業者は新井隆二会長(62)で、ビック株の72.3%を保有するオーナー。群馬県高崎市の薬局の次男坊として生まれた。20歳のときに東京・大塚駅前に薬店を出店。しかし、父親が病気で倒れたため、店を他人に譲り帰郷。その資金を元手として、1968年に高崎DPセンターを開設。72年、カメラ販売部門を分離してビックカラー(現ビックカメラ)を設立。78年には東京・池袋に東京店を開設。駅前立地の大型店で快進撃を続けた。

 06年8月、ビックのジャスダック上場で、新井氏は巨額の上場益を手にしたが株価は低迷。ヤマダから挑戦状を叩きつけられたため、エディオンと連合を組むことにした。
 しかし、ネックになったのは「40%ルール」。ビックの経営陣は「飲み込まれる」と不満を抱き、統合は白紙還元。株式3%の相互持ち合いという緩やかな提携にとどまった。


ベストの選択肢  

ベストの選択肢は、(1)自主独立を守る、(2)ヤマダの傘下に入る、(3)エディオン、ビックと反ヤマダ連合を組む、(4)再生ファンドに身売りする―の4つ。ベストは自主独立を望んでいるが、業績低迷が続く現状では難しい。
 エディオンを核にビック、ベストの反ヤマダ連合が実現すれば、ヤマダの売上高を上回る。だが、反ヤマダ連合は一枚岩ではない。ビックは1月16日、ベストの広島本店(広島市)を「ビックカメラ」に転換すると発表した。広島はエディオンの本拠地のひとつ。提携しているビックの広島進出は、エディオンの神経を逆撫でした。
 ビックは、ベスト広島本店のような大型店に出店するのが狙いで、ベストが多数抱えるFC店には関心がない。これ以上、肩入れすることはない。

 ベストと肌合いが近いのはNEBA加盟店仲間のエディオン。エディオンは地方の雄といわれた量販店の集合体だ。ヤマダの山田昇社長(64)のような強力なリーダーシップの持ち主が率いているわけではない。エディオンが参戦したのは、ヤマダによるベスト買収を阻止するのが狙い。緩やかな統合をうたうエディオンが、ヤマダ相手にベスト株のTOB合戦に突き進むとはありえない。
 このように見ていると、敵対的TOBを仕掛ける力をもっているのはヤマダだけだ。ベストの08年2月期の決算は悪化が見込まれている。ヤマダが大株主として、ベストに提携を迫る口実になる。株主総会がひとつのヤマ場。敵対的買収に乗り出すのは、それからだろう。  買い手があるうちが華。買い手がなければ、再生ファンドに身売りするしかない。


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